研究課題/領域番号 |
16H03130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小竹 元基 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (10345085)
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研究分担者 |
北崎 智之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究センター長 (30768510) [辞退]
下坂 正倫 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (40431796)
山崎 彬人 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70725944)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | システム安全 / ヒューマンインターフェイス / 高齢者 / 運転能力 / 運転行動 |
研究実績の概要 |
本研究は、後期高齢者を含む高齢運転者を対象に、無信号交差点での事故発生のメカニズムを明らかにするとともに、事故発生パターンに応じた不安全性の高い行動をドライブレコーダおよび分析ツールの高度化により、抽出・類型化するアルゴリズムの構築を行い、運転支援方策を実証的に見いだすことである。得られた結果は、事故を防止する運転支援方策に必要とされる、高齢者の運転における弱点を適切に補完する人間機械協調系に関する知見をえることを目指す。研究期間で目的を達成するための実施項目は、(1)無信号交差点における不安全性の高い行動の特徴把握と背景要因との関連性、(2)無信号交差点での安全な運転行動の設定とその抽出法、(3)ヒューマンエラー防止のための運転支援方策、(4)自動運転技術による運転支援方策の実現化の検討、である。本年度は、上記(1)(2)の実施項目に対して、以下に示す知見と実績を得た。 高齢運転者の無信号交差点での事故発生の特徴を交通事故分析センターによる調査、保険機関による事故データを再分析、整理することにより、対象シーンを一時停止交差点通過時の運転シーンと設定した。その対象シーンの交通空間の特徴とその空間を安全に運転する行動の要求を熟練運転者の運転行動の特徴から明らかにし、実環境下で高齢運転者の運転行動が評価可能なシステム構造設計と実証を検討した。その結果、後期高齢者を含む高齢者45名の実運転行動の特徴から不安全性の高い行動の特徴を分類した。また、一時交差点に進入する際の視覚情報処理の特性が不安全性の高い運転行動に関連があることを示した。 上記の得られた知見の一部を国際会議”FASTzero17”で発表し、優秀論文賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者の実運転行動実験を行っていたところ、実環境統制が困難で交差点に対する自車位置の精度が出ないことが判明した。研究遂行上、交差点における不安全行動を定量的に抽出する必要性から、シミュレータ実験と、自車位置推定法の開発を追加で実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、後期高齢者を含む高齢運転者を対象に、無信号交差点での事故発生のメカニズムを明らかにするとともに,事故発生パターンに応じた不安全性の高い行動をドライブレコーダおよび分析ツールの高度化により,抽出・類型化するアルゴリズムの構築を行い,高齢者の運転における弱点を適切に補完する人間機械協調系における運転支援方策を実証的に見いだすことである。今後は、構築した車載センシングシステムにより得られる、一時停止交差点進入時の高齢者の運転行動データから、高齢者の不安全性の高い行動の抽出法を提案する。その上で、道路空間における幾何・地物の特徴と交差点に進入する際の車両状態量の変化から、一時停止交差点に進入する際の各交差点に対する運転行動の危険性を客観的に評価するアルゴリズムの構築を行い、ドライバの弱点が、実際の交通環境条件においてヒューマンエラーになるか否かを判定し、無信号交差点における安全確保のための行動パターン(確認行動と速度設定等)を促すための運転支援方策を構築する。その上で、シミュレータ内に、高齢者の典型的な無信号交差点における事故シナリオを再現し,高齢者による運転支援方策とその機能の有効性の検証実験を行う.その結果に基づき,ヒューマンエラー防止に必要な自動運転技術の要求機能とシステム構築のための設計方針を作成する.
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