研究課題
噴火によって放出される噴石に対する山小屋等の木造建築物の補強策を検討するための実験および補強素材としての鋼板の活用の検討を実施した。また、噴石の挙動を解明するために、草津白根山2018年噴火の噴石の分布調査を実施した。木造屋根構造の安価かつ簡易的な強化策を検討することを目的に杉板2層を重ね合わせた構造体への衝突実験を、防衛大学校所有の高速投射型衝撃破壊試験装置で実施した。実験は質量2.66kgの飛翔体を速度20~77m/sで試験体に衝突させた。実験の結果、板厚に関わらず、1枚目と2枚目を直交させるように重ね合わせるクロス構造は平行に重ね合わせるスタッガード構造に比べて高い衝突エネルギーにおいて貫通の境界が現れた。杉板を2枚重ねて木造建築物屋根を作製する場合、クロス構造の方が噴石衝突に対する木造建築物の安全性が高いといえる。低コストでアラミド繊維織物と同様の耐噴石強度が期待できる素材をとしてステンレス鋼板(SUS304)について検討した。既往研究などの実験結果から既製品の厚さ1.5mmのSUS304の貫通境界エネルギーEpは11kJと見積され、アラミド繊維織物補強の場合のEp =13kJ に劣るものの、速度約83m/sで直径15cmの噴石が衝突した場合の衝突エネルギー9kJよりも上回ることが明らかとなった。材料費はアラミド繊維織物に比べてSUS304は相対的に安価であり、輸送費や建築上の強度の問題はあるが、SUS304での補強も有効であると考えられる。草津白根山2018年噴火の噴石の分布調査の結果、長径約20cmの岩塊の最大水平飛距離は400~650m,長径50cmの岩塊は400m,長径100cmの岩塊は350m,長径200cmの岩塊は150mであることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Volcanology and Geothermal Research
巻: 359 ページ: 37-46