研究課題/領域番号 |
16H03156
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
伊藤 和也 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80371095)
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研究分担者 |
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (90508342)
永松 伸吾 関西大学, 社会安全学部, 教授 (90335331)
小山 倫史 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (20467450)
今井 龍一 東京都市大学, 工学部, 准教授 (90599143)
吉川 直孝 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 主任研究員 (60575140)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然災害 / 危機管理 / 災害リスク / 防災・減災 / 国土保全 |
研究実績の概要 |
本研究は,国内自治体の自然災害に対する脆弱性の評価・計測方法を確立し,統一的な数量的指標として提案しているGross National Safety for natural disasters(自然災害安全性指標:GNS)を国内自治体単位レベルまで適用範囲を拡大することで,GNSを用いた科学的根拠に支えられた防災戦略立案に対する意志決定への活用を行うものである。 平成28年度は,GNS2015版にて構築・試算した都道府県レベルのGNS指標をベースとして,それを市町村単位に細分化したGNS指標をいくつかの地域を先行して開発し,実際との乖離度合いを比較することで,構成要素の加除や重み係数の選定等のGNS指標の改善作業を行った。特に,GNS2015の評価体系は防災・減災投資の政策決定者に向けて簡便で明確な指標開発を目指すために「曝露量指数」と「脆弱性指数」の掛け合わせで表現している。しかし,都道府県単位から市町村単位のように細分化するためには,より詳細な地域別データが必要となる。そのため,入手可能な公開データを用いて市町村版GNS指標を構築した。具体的には以下の通りである。 (1)曝露量指数:GNS2015では曝露量指数を災害発生頻度(危険事象:Hazard)×災害の影響下にある人口割合(曝露:Exposure)として表現している。具体的には(1)地震,(2)津波,(3)高潮,(4)土砂災害,(5)火山噴火 の5種類の災害について検討を行っている。しかし,これら5種類の災害以外にも「洪水」のように曝露量指数を決定する災害として組み入れる必要がある災害もある。そのため,個々の災害の影響度合いについて再検討を行い,加えて実際に起きる現象を公開データから表現しうる具体的な手法を検討した。 (2)脆弱性指標:「ハード対策」と「ソフト対策」に分類し,それぞれの対策指標について算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,GNS2015版にて構築・試算した都道府県レベルのGNS指標をベースとして,それを市町村単位に細分化したGNS指標をいくつかの地域を先行して開発し,実際との乖離度合いを比較することで,構成要素の加除や重み係数の選定等のGNS指標の改善作業を行った。都道府県単位から市町村単位のように細分化するためには,より詳細な地域別データが必要となるため,今回は入手可能な公開データを用いて市町村版GNS指標を構築した。市町村版GNSは,中京圏に加えて関東圏,関西圏が完成した。現在九州・中国地方を対象に作業を行っており,平成30年度までには47都道府県の市町村版GNSを完成させたい。 GNS2015にて使用している5種類の災害((1)地震,(2)津波,(3)高潮,(4)土砂災害,(5)火山噴火)の曝露量指数に加えて「洪水」災害を組み入れたGNSについて大阪府を対象として試作した。 また,GNS2015の英語版パンフレットを作成して地盤工学会関東支部のホームページに公開した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降も,引き続き市町村版のGNS作成に注力する。平成28年度では中京圏,関東圏,関西圏が完成の目途が立っているが,平成30年度までには47都道府県について市町村版のGNSを作成し,公開したい。 また,平成28年度の成果を取りまとめて,「GNS2017」のパンフレットを製作し,それを配布・公開する。このパンフレットを用いて平成30年度までに地方自治体等にアンケート調査等を行い,GNSの防災戦略への反映を検討する。 さらに,各災害の曝露量指数の市町村版への反映方法の検討に加えて,脆弱性指数の各項目の妥当性の検証のために,有償データを利用した比較分析などを行いながら,GNSの妥当性を確認する。
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