研究実績の概要 |
平成30年度は、膝前十字靱帯(ACL)再建モデルにおいて、12週後この組織に出現する幹細胞様細胞を分離し、正常組織と比べて特異的に高発現している遺伝子をマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。成羊(サフォーク種)6頭を用い、独自に開発した成羊ACL再建モデルにおいて幹細胞様細胞を被損傷靱帯から関節内移植腱へ遊走させた群(被覆群)と、その処置を行わなかった群を作製した(非被覆群)。各群とも術後12週に屠殺して生体力学的、組織学的および遺伝子解析に供した。遺伝子の網羅的解析は、組織から細胞を分離し、isolation kitを用いて全mRNAを抽出し、その安定性と質をBioanalyzerを用いて調べた後、逆転写によってfluorescence-labelled cDNAを作製した。NCBI databaseを基に、約8000個のDNAを基板上に配置にしたoligonucleotideマイクロアレイを作製し、各時期に発現している遺伝子を網羅的に解析した。正常群との比較により、非被覆群において特異的に高発現する以下の遺伝子群を明らかにした。(1)20倍以上発現遺伝子: COL1A1, ADAM12(筋肉・脂肪の両組織形成に関わる膜タンパク質)、periostin(インテグリンリガンド)(2) 10倍以上発現遺伝子: MMP2, COL21A1, COL14A1, COL5A1。
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