1. 開発したトランスデューサの音響性能評価 開発したトランスデューサは,0.5 MHz付近と1 MHz付近の2周波数で鋭い共振ピークを持つ.全素子合計の0.50 MHzにおけるコンダクタンスは0.2 Sであった.これは200 Vpp駆動で700 W程度の音響出力に相当し,結石表面でキャビテーション現象を発生させるには十分な性能を持つと考えられる.また,これまでに開発した1 MHz,2 MHzの2周波数共振トランスデューサの性能と比較すると,周波数でほぼスケーリングされる性能となっており,周波数を下げたことによる大きな問題はないことが確認できた. 2. キャビテーション気泡の高速度撮影 生態を模擬したゲル中に発生させたキャビテーション気泡の高速度撮影を行った.撮影に用いたカメラは,本研究で購入した高解像度カメラを用いた.光学倍率1倍前後(1ピクセル10 um前後に相当)で撮影を行ったため,超音波照射時のキャビテーションクラウドの発生だけでなく,その後に残存する微小気泡も補足することができた. 3. キャビテーション気泡イメージングの有効性の検討 ゲルおよび鶏胸肉の中に発生させたキャビテーション気泡の超音波イメージング実験を行った.気泡を選択的に抽出する超音波イメージング法を用いて,鶏胸肉中のキャビテーション気泡の挙動を調べたところ,10 msの休止時間の間に気泡領域に相当する位置の超音波画像の輝度が低下していた.この結果は,10 ms以内に溶解する小さい気泡が描出できていたことを示唆しているが,これらの小さい気泡が与える治療効果については今後の課題となった.
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