研究課題/領域番号 |
16H03164
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60568418)
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研究分担者 |
田中 洋介 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20283343)
村松 正吾 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30295472)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光コヒーレンストモグラフィー / 生体計測 / 光コム |
研究実績の概要 |
本研究では、生体内における細胞の動き、特に微小振動を可視化するために、「光コム」を用いた新規生体光断層撮像(Optical coherence tomography: OCT)装置を製作し、組織や臓器の仕組みとその破綻である病態の理解に役立てることを目的としている。 本年度は、東京農工大学田中洋介准教授との協働により、コム間隔可変の位相変調器型光コムを製作し、中心周波数掃引の手法を検討した。モード間隔12.5GHzの1100-1700nmに及ぶコムを生成することができた。また全域で3.5-16.5 GHz周波数シフトを確認でき、モード間隔分の波長掃引ができることが実証された。 さらに、研究代表者(崔)は、光コムOCTの原理確認と生体断層顕微鏡装置(en-face OCT顕微鏡)の製作を行った。光コムOCTの原理確認実験では、広帯域スーパールミネッセントダイオードとファブリペローフィルタを用いた疑似的コム光源を製作し、自製のen-face OCT顕微鏡に導入した。この装置を用いて、モルモットの鼓膜などの生体サンプルの3次元OCT計測と振動計測を行った。実験では、1024×1024×1000 voxelの3次元データの取得時間は約2secを達成し、モルモット鼓膜サンプルの3次元形状計測を実現した。さらに、10kHz音波による鼓膜の振動様態の可視化も実現した。 これらの成果は、光コムOCTによって生きた動物の生体断層及び振動計測が可能であり、本装置を用いて様々な応用の可能性があることを示す。 今後は、H28年度の光コムOCT技術の成果を踏まえ、生きた動物をターゲットとした生体計測の実現、周波数可変広帯域光コム導入に向けた環境整備及び付随して必要な光源装置の開発を行う。さらに、光源開発と並行してバイオイメージングの画像処理技術を新たに提案し、収得画像の分解能向上を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度は周波数可変広帯域コム光源プロトタイプの製作と、光コムOCTの原理確認のためのen-face OCT顕微鏡を製作した。応用として内耳感覚上皮帯計測を目指し、生きた状態での生体計測へ向け光学系と撮像系の最適化を試みた。OCT顕微鏡には、作動距離200mmの超作動距離顕微鏡を導入し、動物の生きた状態での計測をより容易にした。また、自製のマイケルソン型偏光干渉計を導入することで、光学素子からの反射光とレンズフレアによる残光の影響を解消した。さらに、新たに1000fps以上の高感度・ハイスピードCMOSカメラを導入し、高速な3次元データ取得の高速化を実現した。 研究代表者(崔)は新大医学部(日比野教授ら)と協働により、上記MS en-face OCT装置を用いてモルモットの鼓膜などの生体サンプルの3次元OCT計測と振動計測を行った。モルモット鼓膜を10 kHzの音波によって揺らし、その振動の振幅と位相分布を計測した。実験では、10kHzの純音を音圧約90dBで鼓膜表面から数cm離れた位置から印加し計測を行った。200~300 nmの振動振幅分布を計測した。OCT計測と同時に空間的振動様態(振幅及び位相)の可視化が可能であることを示した。 周波数可変広帯域光コムの製作では、 モード間隔12.5GHzの1100-1700nmに及ぶコムを生成することができた。モード間隔12.5GHzの1100-1700nmに及ぶコムを生成することができた。短波長側の1320 nm 帯、長波長側の1680 nm 帯では10 dB 以上のコントラストが確認でき,中心波長付近(1550 nm 帯)では30 dB 程度の光コム(縦モードコントラスト)を確認できた。また全域で3.5-16.5 GHz周波数シフトを確認でき高分解能分光計測及び、光コムOCT計測応用への有効性が実証された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、前年度の光学干渉顕微鏡システムと光コムOCT技術の成果を踏まえ、生きた動物をターゲットとした生体計測の実現、周波数可変広帯域光コム導入に向けた環境整備及び付随して必要な光源装置の開発を行う。さらに、光源開発と並行してバイオイメージングの画像処理技術を新たに提案し、収得画像の分解能向上を図る。 広帯域光コムの製作においては、研究分担者の東京農工大学田中洋介准教授による種光源部の製作とモジュール化を行う。さらに、黒川隆志教授の協力のもとで非線形ファイバとハイパワー光増幅器で構成された新規パルスシンセサイザーを用いて生成したコムの広帯域化を試みる。 光学干渉顕微鏡の開発では、現行の装置を改良し、本学(新潟大学)医学部の日比野教授、任准教授の協力のもと生きた動物の内耳蝸牛内の基底板組織のin-vivo計測の実現し、本装置を用いたin-vivo計測手法を確立する。本年度後半から光コム導入に向けて波長帯域1.5μmに対応する対物レンズを用いた光学系を構築する。 本手法によって得られた3次元OCT画像の効果的な新規画像処理技術を提案し、ノイズ除去及び画像分解能の向上を目指す。研究分担者の本学(新潟大学)村松正吾准教授の協力のもとで光コムを用いた場合の干渉信号のスパース性や位相特性に注目し、フーリエ変換に頼らない新規画像処理技術を提案及び実証する。
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