グアニン結晶の光干渉型バイオセンシングの基礎手法をさらに発展させるため,天然グアニン結晶の安定性に関する検討を行った。魚類由来のグアニン結晶の表面にはベシクル等の生体分子が残存していたため,エタノール沈殿を用い,天然グアニン結晶の溶解特性,および水中でのグアニン結晶の分解速度を厳密に調べた。また,流体回路内でグアニン結晶を長期間使用する場合の耐久性の情報を得た。ターゲット分子の種類や大きさに応じた担持グアニン結晶の反磁性磁気回転速度を解析し,水中浮遊状態でのグアニン結晶のミラー回転性能を明らかにした。魚類ウロコから精製したグアニン結晶板の交差角を磁場配向で調整しつつ,光干渉を結晶板表面で制御する技術を検討した。モアレ干渉縞を利用したターゲット細胞・分子検出法の基礎原理を開拓した。その際,マイクロ・ナノスケールのモアレ干渉縞をグアニン結晶2枚の交差法で生成させ,ターゲットとなる生体組織成分(DNA,タンパク質,脂質,核酸塩基等)近傍の屈折率分布に依存した光干渉パターンを得た。また,グアニン結晶のモアレ干渉縞作成法と磁気制御手法を顕微観察システムに実装し,グアニン結晶板ペア(重ねた結晶板)の反射・透過光スペクトルをもとに,培養細胞とディテクター用グアニン結晶板の光干渉用の検出に成功した。培養骨芽細胞の細胞外マトリックスとしてのコラーゲン繊維の分布に依存したグアニン結晶との光干渉縞の出現を観察し、その干渉パターンを外部磁場で変化させることを可能とした。さらにクシクラゲの櫛板の部分に存在する微小管(マイクロチューブルス)の構造色を磁場中で観察し、櫛板周囲に配置したグアニン結晶板による光干渉増強効果を見いだした。
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