研究課題/領域番号 |
16H03170
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
村上 輝夫 帝京大学, 福岡医療技術学部, 教授 (90091347)
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研究分担者 |
澤江 義則 九州大学, 工学研究院, 教授 (10284530)
岡崎 賢 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10398092)
中嶋 和弘 九州大学, 工学研究院, 助教 (70315109)
鈴木 淳史 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90162924)
坂井 伸朗 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60346814)
鎗光 清道 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (90723205)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人工軟骨 / ハイドロゲル / バイオトライボロジー / バイオメカニクス / 生体規範超潤滑 |
研究実績の概要 |
以下の各視点から生体関節軟骨を規範として超潤滑性を有する高機能ハイドロゲル人工軟骨のロバスト性の向上と最適化に取組んだ。 (1)生体関節の多モード適応潤滑機構の解明:軟骨構造・物性を考慮した固液二相有限要素解析と実験の双方で固液二相潤滑機構を明確化した。さらに、関節液主要成分による吸着膜形成機構を実験的に観測・解析し面圧の影響を示すとともに、水和潤滑やゲル膜潤滑との協調の重要性を総括した。 (2)生体関節の機能解明を反映したPVAハイドロゲルの改質による高機能化:生体関節軟骨を規範にして、高含水性超潤滑ハイドロゲル人工軟骨のロバスト性向上と最適化に取組んだ。とくに、繰返し凍結解凍ゲルとキャストドライゲルの積層構造であるPVAハイブリッドゲルに着目し、固液二相潤滑機能や表面潤滑機能、構造強度を主体に構造・物性・機能の最適化の指針を検討し、耐久性や、荷重・運動・温度条件の変化に対するロバスト性の向上のための課題を明確化した。また、異方性や繊維強化の効果を明示した。 (3)ハイブリッドゲルの最適化を基盤にした臨床応用のためのデザインの最適化:硬質材と人工軟骨の組合せとして人工関節用摩擦面の評価を進めるとともに、片面置換(hemiarthroplasty)や、軟骨局部欠損部の人工軟骨・人工骨複合体による代替策への応用に関して、PVAゲルと軟骨の組合せの固液二相解析に取組んだ。 (4)人工軟骨の臨床応用に関する体系化と、生体に学ぶ潤滑学理の明確化:関節症患者の症例に応じたゲルの応用法を調査検討した。生体における多モード適応潤滑機構について総括し、生体に学ぶ潤滑学理や最適化原理の提案を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は今年度に新たな研究機関に異動したため、年度前半には本研究に必要な研究設備の移設や必要物品購入等に日数を要したが、相応の研究環境を整えることができた。研究分担者は異動がなく、従来の研究環境を活かして本研究に取組んでおり、おおむね計画に沿って進展している。
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今後の研究の推進方策 |
28年度の研究体制と研究成果を基盤にして以下の研究項目について拡充させる。 (1)生体関節の多モード適応潤滑機構の解明:軟骨構造・物性を考慮した固液二相有限要素解析の結果を実験でも確認し固液二相潤滑機構の解明を進めるとともに、関節液主要成分による吸着膜形成機構を実験的に観測・解析し、種々の摩擦条件下の吸着膜形成の重要性を明確化する。これらを総括することにより、多モード適応潤滑機構の詳細を明確化する。 (2)生体関節の機能解明を反映したPVAハイドロゲルの改質による高機能化:生体関節軟骨を規範にして、高含水性超潤滑ハイドロゲル人工軟骨のロバスト性向上と最適化を目指す。とくに、PVAハイブリッドゲルに着目し、固液二相潤滑機能や表面潤滑機能、構造強度、溶出抑制を主体に最適化改善設計を試み、複数施設で多様な条件での荷重支持・潤滑機能の評価を行い、耐久性やロバスト性の向上に取組む。繰返し凍結解凍ゲルとキャストドライゲルの積層構造であるハイブリッドゲルにおいて、多種の設計パラメータを調整することにより、構造・物性・機能の最適化を進める。また、異方性や繊維強化の効果を活用する。 (3)ハイブリッドゲルの最適化を基盤にした臨床応用のためのデザインの最適化:硬質材と人工軟骨の組合せとして人工関節用摩擦面の評価を進めるとともに、片面置換(hemiarthroplasty)や、軟骨局部欠損部の人工軟骨・人工骨複合体による代替、人工半月板としての応用などを目指して、多様な条件下におけるロバスト性や耐久性の改善をはかり、応用案を絞込みながら最適化を進める。 (4)人工軟骨の臨床応用に関する体系化と、生体に学ぶ潤滑学理の明確化:関節症患者の症例に応じたゲルの応用法を体系化するとともに、多様な事象・現象を総括することにより、生体に学ぶ潤滑学理や最適化原理の提案への貢献を目指す。
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