研究課題
超潤滑性ハイドロゲル人工軟骨のロバスト性の向上と最適化の研究を実施した。(1)生体関節の多モード適応潤滑機構の解明:単純化ゲルモデルの固液二相有限要素(FE)解析に基づき、負荷条件や表層異方性繊維強化の間隙圧や摩擦への影響を含めて固液二相潤滑の役割を明確化した。また、関節液主要成分の役割についてアルブミンとγグロブリンの吸着挙動の差異を明確化し、ヒアルロン酸やリン脂質の効果を考察した。弾性流体潤滑・固液二相潤滑と水和潤滑、境界潤滑との協調作用について多モード適応潤滑の視点より総括した。(2)生体関節の機能解明を反映したPVAハイドロゲルの改質による高機能化:生体関節におけるコラーゲン線維の役割を模擬したPVA繊維強化PVAハイドロゲルにおいて、固液二相FE解析および摩擦実験により繊維強化が間隙圧を高め低摩擦化に寄与することを明示できた。接触面圧が高い条件下では、凍結解凍(FT)・キャストドライ(CD)両ゲルの架橋構造を単層ゲル内で複合化した単層複合化ハイブリッドゲルの最適乾燥処理により低摩擦・低摩耗化を実現した。ゲル摩擦の速度特性を比較し、単層複合化および積層ハイブリッドゲルでは低速域を含めた低摩擦維持を確認した。特許「ハイブリッドゲルの製造方法」(P6432860)が2018年11月に登録された。(3)ハイブリッドゲルの最適化を基盤にした臨床応用のためのデザインの最適化:滅菌処理を含めた生体環境における人工軟骨のトライボ特性評価に基づき、PVAゲルのロバスト性の評価と最適化を進めた。(4)人工軟骨の臨床応用における体系化と、生体に学ぶ潤滑学理の明確化:症例に応じて人工関節摩擦面や軟骨欠損部インプラントへの応用を考慮し作動条件の過酷度に対応した人工軟骨の適用法の体系化を検討した。生体関節における多モード適応潤滑機構について総括し、生体に学ぶ潤滑学理の明確化について考察した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件)
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