研究課題
昨年度までに研究が発展したナノ線維構造SAT について研究を進めた.動物由来のコラーゲン溶液を用いて,温度とPHを調整することにより分子間結合を促進させ,タイプIおよびタイプIIの再線維化コラーゲン溶液を生成した.この再線維化コラーゲン溶液の生成時に家兎およびヒト由来の間葉系幹細胞を含有させ,遠心分離による線維充填化を行った後に培養を続け,固形のナノ線維構造SATを生成した.そもそもタイプIIコラーゲンは従来手法ではゲル化させることが不可能とされてきたが,それが本手法により可能となった.これは,軟骨再生を目標とするバイオマテリアル開発における,重要な技術革新であると考えられ,新たな特許申請を検討している.タイプIコラーゲンを成分としたナノ線維構造SATは,ナノ構造やナノ線維を用いない従来のSATに比べ,コラーゲンなどの遺伝子発現が強く,より太いコラーゲン線維がより密に充填されていることを確認した.タイプIIコラーゲンを成分としたナノ線維構造SATは,タイプIコラーゲンを成分としたナノ線維構造SATに比べ,コラーゲン線維が細く,束化されていなかった.軟骨修復実験では,タイプIおよびタイプIIコラーゲンを成分とするナノ線維構造SATを,家兎の大腿骨軟骨に移植した.比較対照として,タイプIコラーゲンと幹細胞を混合したコラーゲンゲルを移植したゲル群,および処置を施さない無処置群を用意した.1ヶ月後および3ヶ月後に修復軟骨を取り出し,組織学的特性と圧縮特性を調べた.その結果,ナノ再線構造SATを用いて修復した軟骨は,軟骨―軟骨下骨の構造連続性が正常軟骨構造にもっとも近く,ゲル群と同様に高い軟骨分化能を有していることが明らかになった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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