研究課題/領域番号 |
16H03176
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
須藤 英毅 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (30374367)
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研究分担者 |
岩崎 倫政 北海道大学, 医学研究科, 教授 (30322803)
東 秀明 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (20311227)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 椎間板再生 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、1)ヒト正常椎間板細胞を用いた高純度硬化性ゲル内での増殖に関する評価と2)ウサギ椎間板を用いた椎間板組織再生の長期的評価を行い、最適なゲルの濃度と種類を選択することを当初の目的とした。 1)北海道大学病院整形外科において、思春期特発性側弯症手術患者より匿名化された非変性椎間板組織(髄核細胞)の供与を受け、現在までに開発した各種高純度硬化性ゲル(UPAL gel)および従来の細胞培養用アルギン酸ゲルに相当するゲル(Commercial grade gel)を用いて3D培養を行った。この結果、UPAL gelはCommercial grade gelに比べて、血清飢餓時における細胞生存率とアポトーシス細胞率が有意に低かった。また、UPAL gelにおいて、粘稠度による細胞増殖能等の違いはなかった。 2)18G針を用いて体重3.2-3.5kgの日本白色家兎の椎間板組織(髄核組織)を吸引し、椎間板欠損モデルを作製した。治療群として、無治療群の他に、粘稠度の異なるUPAL gelを投与した。術後12および48週で各群の組織を採取し、全組織に対し7-0Tesra超高磁場MRIによる椎間板変性の定性および定量評価を行ったあと、肉眼的評価およびHE、Safranin-O染色による組織定量評価Type I・II collagen免疫組織化学染色による染色陽性細胞の算定を行った。この結果、吸引単独群に比べてUPAL gel投与群で、組織評価、MRI評価いずれも椎間板組織の変性が抑制されており、免疫組織化学染色においても、TypeII collagen陽性細胞率が有意に高かった。粘稠度による組織の違いはなかった。 1)及び2)の結果からハンドリングがし易い、UPAL gel500(粘稠度400-600mPa/s)を以降の研究に使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒト椎間板細胞を用いたin vitro研究とウサギを用いたin vivo研究が当初の計画以上に進展し、その結果も予想通りであったことから、前倒し請求を行って平成29年度に実施予定としていた大型動物(ヒツジ)を用いた性能試験とウサギを用いた生物学的安全性試験を実施した。いずれの試験においても、薬事申請を念頭にしてPMDA薬事戦略相談(対面助言)の結果に基づいて実施した。さらに、新たに得られた結果から、特許の優先権主張に伴う請求内容の追記とPCT出願も行った。
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今後の研究の推進方策 |
大型動物(ヒツジ)を用いた性能試験とウサギを用いた生物学的安全性試験の結果のまとめを平成29年度中にまとめるよう研究を推進していく。 さらに、椎間板組織再生法における組織再生メカニズムの解明についても併せて行っていく。
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