研究課題/領域番号 |
16H03180
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
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研究分担者 |
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10393216)
舩本 誠一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 寄附研究部門准教授 (40609947)
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40638384)
中村 奈緒子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 研究支援者 (70754878) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脱細胞化生体組織 / バイオマテリアル / 組織再構築 / 微細構造 |
研究実績の概要 |
脱細胞化生体組織の生物機能を中心に検討を進めた。 1 脱細胞化生体組織の物理的特性評価:ブタ真皮を用い、種々の方法で脱細胞化を行った。力学評価、AFMによる構造観察、内部空隙の体積計測などの物理的解析を行った。2 脱細胞化生体組織の生物学的機能評価:細胞との相互作用について、間葉系細胞、上皮系細胞、がん細胞等の細胞種について、接着・増殖、形態変化および内部への浸潤について検討を行った。種々の方法で脱細胞化した組織中に存在しているタンパク質、多糖類の分析を行う。界面活性剤で長時間洗浄した後も多くのタンパク質が残存し、これらのうちのいくつかが生物活性を発現しているとの報告があるため、細胞を培養し、脱細胞化と同様の処理を行った後に、残存する細胞残渣についての検討を行った。 3 脱細胞化生体組織の生体内機能評価:脱細胞化組織の生体内評価をウサギを用いて行った。当初、ラット・マウスを用いる予定であったが、組織治癒能力が高すぎるため、詳細な比較検討が困難であったため、ウサギを用いた実験に変更した。創傷部位を作製して脱細胞化組織を移植し、1ヶ月から6ヶ月の期間埋植した。内部空隙の体積、力学特性、残存タンパク質などの要素が、炎症反応、細胞浸潤、分解反応にどのように影響するかについて、組織切片観察および免疫染色を用いて評価した。 4.材料を用いたマトリクスの検討:医療用セグメント化ポリウレタン(SPU)を用いて、種々の口径の多孔体を作製した。脱細胞化生体組織の内部構造と比較するために、透水性や細胞浸潤性について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脱細胞化組織の調製と構造解析および人工材料を用いたマトリクスの検討についてはおおむね順調に進展しているが、コラーゲンマトリクスの調製についてやや遅れている。理由は、生体組織に類似した機能発現を目指したコラーゲンマトリクスの調製を目的としているが、脱細胞化組織の解析と人工材料マトリクスの検討から、内部構造の検討範囲が当初の見込みより大幅に広範囲にわたる可能性が示されたため、同時進行でコラーゲンマトリクスを調製すると、目的の内部構造に合致した試料を得られない可能性が生じたため、内部構造の解析を先行させた後に、コラーゲンマトリクスの調製に取りかかることとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
生体組織の3次元構造の再現を達成するために、表層構造と内部構造のそれぞれについて特性解析と細胞播種のための機能付与について検討を進める。表層構造の解析については、熱化学分析ならびに人工材料に構造を転写する技術の検討を進めており、得られた成果を脱細胞化生体組織の改変ならびに人工マトリクスの創出に応用する。内部構造の解析については、熱化学分析と力学試験、細胞浸潤性の主要因の同定を進めており、必要に応じて、脱細胞化生体組織の化学改質の応用について検討を行う。また、脱細胞化プロセスによる細胞残渣の検討を行ったところ、免疫系を制御する可能性を見いだしたため、この機能が脱細胞化組織による組織再構築に及ぼす影響についても検討を加える予定である。
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