研究課題/領域番号 |
16H03185
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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研究分担者 |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポリリン酸エステル / 骨治療 / 薬物輸送 / 開環重合 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / ミネラリゼーション / 体内動態 |
研究実績の概要 |
本研究は,骨粗鬆症や転移性骨腫瘍の治療に有効なポリマー医薬の創出を目的とし企画された。29年度ではポリリン酸エステルが骨代謝に与える影響を骨系細胞を用いて評価するとともに,ポリリン酸エステルのマウス体内動態について調べた。 【骨芽細胞への影響】ポリリン酸エステルおよび上記複合体が骨芽細胞の分化,機能に及ぼす影響を評価した。マウス骨芽様細胞(MC-3T3E1細胞)を播種したウェル内に所定量のポリリン酸エステルを添加したところ,アルカリフォスファターゼ(ALP)ならびにカルシウム沈着物の産生量がポリマーの濃度にともない増大した。 【破骨細胞への影響】ヒト末梢血より分離した単核球をウシ骨スライス上に播種し,破骨細胞への分化を誘導する培地中で所定期間培養した。この培地内にポリリン酸エステルを添加し、破骨細胞への分化に与えるポリマーの影響を調べたところ、ポリリン酸エステルが破骨細胞への分化を抑制することを明らかにした。 【in vivoでの体内動態評価】 動物実験の実施に関しては研究実施施設の倫理委員会の承認を受け実施した。蛍光プローブを担持したポリリン酸エステルを合成し,このポリマーを尾静脈よりマウスに注入した。その後,マウスをIVISイメージングシステムを用いて所定時間ごとに観察したところ,ポリマーが脊柱、大腿部、尾骨に局在していることを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
29年度ではポリリン酸エステルに高分子反応で蛍光物質や生理活性物質を複合化したコンジュゲートポリマーの合成法を確立した。ポリリン酸エステルと骨系細胞との相互作用評価についても計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ポリリン酸エステルが骨系細胞の機能に影響を与えることが認められたが、この機序については未だ明らかになっていない。そこで、遺伝子レベルでの解析などを追加し、ポリリン酸エステルの作用を明らかにする。 また、ポリリン酸エステルがin vivoで骨組織に対しどのような影響を及ぼすか調査する。具体的にはポリリン酸エステルをマウスに所定期間投与したのち、大腿骨および脛骨の強度を測定する。また、骨粗鬆症や骨転移モデルを作成したマウスにポリリン酸エステルを注入し、各疾患の進行に及ぼすポリリン酸エステルの影響を明らかにする。
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