研究課題
神経の跳躍伝導特性を明確にするため、ウサギの坐骨神経を使って、特性を測定していたが、ラットの尻尾を使えば、150mm 程度の長い神経の特性測定が可能となる。そこで、尻尾に跳躍伝導の検出電極を実装し、測定実験を行った。神経を連続的に刺激可能な周期は本実験の結果、1.2ms以上の絶対不応期間隔を開けないと刺激できないことが判った。また、ある程度大きな刺激であれば、反応可能な相対不応期間隔は3ms以下であることが判った。これらの結果により、神経の跳躍伝導であるか、電気緊張性伝導であるかを見分けるために、神経への刺激を例えば1.2ms間隔のパルス波を使って刺激すると、神経であれば、2:1の比率で、跳躍伝導を検出できるが、電気緊張性伝導ではそのようなことは生じない。従って、パルス波刺激を行うことで、神経判別は可能であることが示唆された。磁気センサーに関しては、入手可能なMIセンサーを使って、実験を行ったが、手術環境を想定した場合、800pTレベルまでしか検出することができず、当初、目論んでいた跳躍伝導における発生磁束密度120pTを検出するには至らなかった。さらなる高感度センサーが今後開発されることを期待したい。非接触磁気刺激に関しては、刺激コイルを試作したが、コイルの過渡応答特性を改善するには至らず、神経を連続磁気パルス刺激することで、跳躍伝導を使った神経探索を行うという当初の目論見を実現するには至らなかった。本研究では、神経上の隣り合うランビエ絞輪で順次Na+チャネルの発火が発生するという従来とは異なる見解であるが、軸索を取り巻くシュワン細胞により、複数のランビエ絞輪を飛び越えて、Na+チャネルの発火が発生し、跳躍伝導が実現されなければ、伝導速度は達成されないことも、事実である。神経伝達速度の実現にはシュワン細胞の何らかの関与があるはずなので、今後も研究を続けていく予定である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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