研究課題/領域番号 |
16H03189
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
阿部 宏之 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10375199)
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研究分担者 |
黒谷 玲子 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00453043)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオ関連機器 / 医療・福祉 / 超精密計測 / 先端機能デバイス / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
精度の高い細胞呼吸測定法は、細胞の品質評価や代謝機能解析、ミトコンドリアに関連した疾患の診断に有効な技術となる。本研究では、(1)電気化学計測技術、(2)高精度位置決め技術、(3)高精度ミトコンドリア機能解析技術をキーテクノロジーとする医療応用可能な生殖細胞品質診断システムの開発を目的とした。今年度は、以下の研究を行った。 (1)医療対応型高感度呼吸測定システムの開発 単一の卵子及び細胞の酸素消費量を安定的・高感度で測定できる超高感度マイクロ電極の開発を行った。その結果、白金電極の電解エッチング法とガラスキャピラリーの材質及び熱電極封止法を改良することで、先端径2 μm以下のマイクロ電極を安定して生産できる作製技術を確立した。また、単一細胞の呼吸測定に不可欠であるマイクロ電極-試料間の距離(電極先端位置)とマイクロ電極の走査速度及び走査距離を決定することができた。さらに、受精卵培養用培地をベースに呼吸計測液の基本成分を決定することができた。 (2)高精度ミトコンドリア呼吸機能解析技術の開発 単一卵子から得られる極微量試料を用いたミトコンドリア呼吸機能解析技術を開発するための基盤技術の開発を行った。その結果、高感度蛍光プローブJC-10を用いた単一細胞ミトコンドリア膜電位検出技術を確立するとともに、高感度ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応を応用した単一卵子ATP含量の定量法を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の前半で目標としていた単一細胞の呼吸量測定を可能とするマイクロ電極と非侵襲測定液を開発することができた。また、単一細胞由来の微量試料を用いた細胞呼吸機能解析の基盤技術であるミトコンドリア膜電位活性とATP定量法を確立することができたことから、当初の計画通りに研究が進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の前半の達成目標である単一細胞呼吸機能解析技術を開発するために、以下の研究を重点的に進める。 (1)高感度マイクロ電極と非侵襲呼吸測定液を用いた単一の卵子及び培養細胞の呼吸測定と有効性を検証する。 (2)自動化呼吸測定システムの基盤技術(自動化ステージ等)を開発する。 (2)ミトコンドリア膜電位の変化と呼吸機能の関係を明らかにする。 (3)単一の卵子及び受精卵由来の微量試料を用いた呼吸鎖複合体遺伝子の発現解析技術を開発する。
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