研究課題/領域番号 |
16H03193
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 浩基 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (70391274)
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研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 研究員 (90122407)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 硼素中性子捕捉療法 / 患者セットアップ / 3Dプリンター / 3Dスキャナー |
研究実績の概要 |
BNCTも他の放射線治療と同様に、照射中に治療計画で設定された位置からずれると、付与される線量に差異が出てしまう。BNCTは中性子のバックグランドが他の放射線治療よりも高く、CCDカメラなどの電子機器の中性子による放射線損傷の課題があり適応することができない。そこで、本研究ではその中性子を積極的に利用し、位置ずれを検出する手法を提案した。我々は耐放射線性の高い、中性子場を乱さず、ガンマ線弁別に優れた中性子リアルタイムモニターの開発し、このモニターを患者患部近傍に数点設置し、それぞれの熱中性子の変動をモニターすることで、患者が三次元で照射位置からのずれを検出できないかと考えている。事前の治療計画で表面の熱中性子束分布は得られるので、少なくとも3点のモニターがあれば、3次元で患者がどのように動いたかを検出する事が可能となる。モニターはLiCAFシンチレータ、石英ファイバー、マルチチャンネル光電子増倍管、アンプユニットから構成される。患部表面のモニターによって照射時間を決定することが可能となり、精度の高い照射が可能となる。 平成29年度は本システムの構築を行い、臨床で用いられている中性子源において特性試験を実施した。水ファントムの表面に3点のモニターを中心から5cmの位置に対称に設置し、治療計画と同じ照射位置もしくは、平行に5㎜ずらした位置において照射試験を実施した。治療計画と同じ照射位置においては3点のモニターからの熱中性子束の出力は同等であるのに対し、平行に5mmずらした位置での照射においては、一つのモニターからの出力が、他の2つよりも低い出力であることを確認した。その原因としては、出力が低下したモニターがコリメータの端に近づいたことによる熱中性子の減少によるものであり、本システムによって、位置ずれを検出することが可能であることを実証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において開発している、位置ずれ検出装置の特性試験を実施するためには、臨床で用いられている中性子源での十分なマシンタイムが必要となる。本年度においては十分なマシンタイムを確保することができなかったため、臨床で必要となる課題を抽出するためのパラメータを導出するまでに至らなかった。平成30年度においては、実際の臨床で必要となる課題を抽出することに重点をおきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実際の臨床で用いられている照射場において、プロジェクションマッピング技術・高精度3Dプリンターによる照射位置決めシステム、照射位置ずれ検出装置及び、ファントムを用いて、開発したシステムの総合的な特性試験を実施する。特性試験の結果から、臨床で必要となる課題を抽出し、照射位置ずれ検出装置の高度化を実施する。さらに、照射試験を重ねて実施し、臨床に適応可能なシステムを実現する。
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