研究課題/領域番号 |
16H03201
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (10545867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 心理学 / 神経科学 / 脳刺激 / 行動分析 |
研究実績の概要 |
頭蓋の外から1mA程度の微弱な直流電流を与える経頭蓋直流電気刺激法(Transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)は、外科手術を行わずヒトの脳活動を修飾できる装置としてリハビリテーション分野で研究が進んでいる。しかしながら、運動麻痺などの機能障害に対するtDCS研究が広く行われている一方で、着衣動作などの日常生活動作をtDCSのターゲットとする研究は世界的にみてもまだ少なく萌芽的段階にある。本研究の目的は、tDCSによって日常生活動作の獲得を促進するために有効な訓練プロトコルを開発することである。障害後の日常生活動作の遂行には、障害を生じる以前にはなかった行動連鎖を新たに獲得しなければならない。すなわち、日常生活動作の獲得には、機能障害の回復とともに新たな行動連鎖を学習することが必要なのである。そこで本研究では、tDCSと行動分析の手法を組み合わせた新しいリハビリテーションを提案する。本年度は、(1)tDCSの作用機序に関する基礎研究を実施した。MRI画像を用いた脳内電場シミュレーションにより、標準脳におけるtDCSの脳内電場分布を明らかにし、また電場分布の個人差も明らかにした(Laakso Tanaka et al., 2016 NeuroImage)。今後はシミュレーションの結果を実データと照合し、更なる検討を行う。(2)機能的MRI実験の研究環境を整えた。共同研究を実施する医療機関において機能的MRIを実施するための最適パラメータを探索し、また視覚刺激呈示を計測できる環境を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DCSの作用に関する研究、MRI実験の環境構築に関しては計画通りに進んだ。行動分析に関しては、主に担当する分担研究者の一時的離脱があり当初の計画よりはやや遅れたが、次年度より復帰する。
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今後の研究の推進方策 |
DCSの研究を着実に進めていく。特にシミュレーションと実験との融合を重視する。機能的MRIに関しては運動反応を信頼性高く計測できる環境を整える。特に被験者の頭部の動き対策を検討する。行動分析のパートについては、エキスパートである分担研究者と検討を重ねる。
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