研究課題/領域番号 |
16H03201
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (10545867)
|
研究分担者 |
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | リハビリテーション / 心理学 / 行動分析 / 脳刺激 / 脳イメージング / 生体シミュレーション / 神経科学 |
研究実績の概要 |
頭蓋の外から1mA程度の微弱な直流電流を与える経頭蓋直流電気刺激法(Transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)は、簡便な神経修飾法としてリハビリテーション分野で研究が進んでいる。しかしながら、運動麻痺などの機能障害に対するtDCS研究が広く行われている一方で、着衣動作などの日常生活動作をtDCSのターゲットとする研究は萌芽的段階にある。本研究の目的は、tDCSによって日常生活動作の獲得を促進するために有効な訓練プロトコルを開発することである。障害後の日常生活動作の遂行には、障害を生じる以前にはなかった行動連鎖を新たに獲得しなければならない。すなわち、日常生活動作の獲得には、機能障害の回復とともに新たな行動連鎖を学習することが必要なのである。そこで本研究では、tDCSと行動分析の手法を組み合わせた新しいリハビリテーションを提案する。本年度は、(1)tDCSに関する基礎研究を論文化も含めて継続した。物体をつまむなどの上肢日常生活動作に対して、脳卒中患者を対象にtDCS効果の検証を行った研究の論文をまとめた(Moriya et al., 2018)。その結果、対象者間で効果のばらつきがあるものの、介入から1週間後には、グループレベルの解析では有意に成績が改善することが示された。(2)tDCS効果の個人差を生じる要因として、ターゲット領域における電界のばらつきが寄与している可能性を健常者を対象とした研究で示し、論文化した(Laakso et al., 2018)。(3)トイレ動作という日常生活動作の訓練において、脳卒中患者を対象に応用行動分析の手法を用いて課題分析を行い、行動要素ごとの難易度を明らかにし論文化した(Kawanabe et al., 2018)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
tDCSに関する研究に関しては計画通りに進み、論文化をすることができた(Moriya et al., 2018)。行動分析に関しても、脳卒中患者のトイレ動作に関する研究を実行し、こちらも論文化することができた(Kawanabe et al., 2018)。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、tDCS効果の個人差に対する検討を進めていく。また、行動分析では、分担研究者と協力し患者を対象とした研究を遂行していく。両介入を統合した研究を進めていく。
|