研究課題
肩こりや腰痛、運動後の筋肉痛や線維筋痛症など、筋や筋膜に起因する痛み(筋・筋膜性疼痛)は、患者、高齢者、アスリートに至るまで、身近であり罹患者が多い。また、超高齢化やストレス環境下での長時間労働などを背景に、大きな社会的・医療経済的負担を生じている。本研究はこれら筋・筋膜性疼痛のメカニズムの一端を解明し、適切な治療や予防法の確立に繋げることを目的としている。本年度は下腿筋に伸張性収縮を負荷したラット遅発性筋痛モデルを用い、筋機械逃避閾値を指標に、行動薬理学的解析を行った。その結果、これまでにその機械痛覚過敏への関与が明らかになっているTransient receptor potential (TRP)チャネルのうち、TRPV1やTRPV4に加え、TRPA1の関与を示唆するデータが得られた。この結果は遅発性筋痛の分子機構の一端を示す知見であり、その治療や予防につながる可能性が期待できる。また、ストレス誘発性疼痛の神経機構解明のため、複合持続ストレス負荷による慢性疲労症候群の動物モデルを用い、脊髄後角表層ニューロンの細胞外記録を行った。その結果、モデルラットの後角表層(主としてII層)ニューロンの自発発火が増加し、そのニューロンの受容野に対する機械刺激感受性が顕著に増大することがわかった。さらに、後角表層ニューロンからのin vivoパッチクランプ記録による解析結果から、ニューロンへの興奮性入力の増加とともに、抑制性入力の顕著な減少が観察された。これらの知見は器質的背景が不明瞭で難治性とされているストレス誘発性疼痛の病態機構の一端を脊髄において神経・シナプスレベルで解明する成果である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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