研究課題/領域番号 |
16H03203
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
中島 敏明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50227790)
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研究分担者 |
井上 晃男 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20168454)
福田 宏嗣 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70526269)
豊田 茂 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80332998)
柴崎 郁子 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80438689)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | sarcopenia / skeletal muscle / cardiovascular disease / muscle atrophy / heat shock protein / waon therapy / kaatsu training / microRNA |
研究実績の概要 |
1) 心大血管疾患患者の筋萎縮、サルコペニアに関する臨床的検討:心大血管疾患入院患者に対して、筋萎縮、サルコペニアならびにサルコペニア肥満につき詳細に検討した.さらに、心大血管手術患者において、手術当日 血液と脂肪組織を手術時にサンプリングした.各種サイトカイン、マイオカイン、アディポカインなどをLuminex/ELISAで測定するとともに、脂肪組織からtotal RNA, 蛋白を抽出し, アディポカイン、サイトカインなどの発現を検討した.現在、-80℃にストックされた血液から20種類の項目を測定し、さらに、詳細に解析している. 2) In vitroの温熱刺激の骨格筋に及ぼす効果についての研究:温熱刺激が骨格筋芽細胞の分化に及ぼす効果を中心に分子的機序につき検討した.培養マウス骨格筋芽細胞(C2C12細胞)を用いた. 温熱刺激は、TRPV1/カルモジュリン/PKC/HSF1のシグナルを介してHSP70が産生され、Akt/mTOR/4E-BP1およびS6K1のシグナルが活性化して骨格筋分化マーカーであるMEF2D、MRF4、Myf5、MyoD1の蛋白の発現が増大することが判明した。 3) In vivoの温熱刺激に関する基礎的研究: C57/BL/6Jマウスに、温熱刺激を42℃ 60分間与えると、マウスの直腸温及び骨格筋温度は約40℃に上昇し、この温熱刺激を2週間連日与えると前脛骨筋(TA)の有意な筋重量の増加が認められた. 4) ラットにおける血流制限下における低強度アイソメトリック電気刺激の筋肥大効果の分子的機序の検討: Wistarラットを用いて、血流制限下での低強度筋収縮は筋酸素分圧を著しく低下させ、mTOR系のS6のリン酸化反応を誘発し筋肥大をもたらすとともに、ミトコンドリア関連タンパク質を含む各種タンパク質の発現も増強することも判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究及び基礎研究ともほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1) 心大血管疾患(CVD)入院患者、とくに、心不全患者ならびに、これまで採取して-80℃に凍結した心大血管手術患者の血液検体につきマイオカイン、アディポカイン、さらに、分泌型マイクロRNAなどの血液マーカーを測定し、筋萎縮、サルコペニアに関する分子的機序の解明を試みる. さらに、マイクロアレイを用いて網羅的にmiRの発現プロフィールから筋萎縮関連miRを測定して、サルコペニアの分子的機序についても検討する. 2)サルコペニアを有する心大血管疾患患者における新規リハビリ様式の効果の検証:サルコペニアと診断された患者に対して、以下の二つの新規リハビリを実施する. ①和温療法 ②加圧トレーニングである. 3)骨格筋に対する温熱刺激の基礎的研究:引き続き、マウス骨格筋由来筋芽細胞(C2C12)を用いて、温熱刺激による筋肥大と関連するシグナル伝達系、マイクロRNA、分泌型マイクロRNAに及ぼす影響について検討する.さらに、in vivoモデルにより温熱刺激の筋萎縮に対する効果及び分子機構についても検討する.
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