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2016 年度 実績報告書

錯覚を利用した感覚運動統合リハビリテーションシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H03210
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

坂口 正道  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283727)

研究分担者 和田 郁雄  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70182970)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードリハビリテーション / 運動錯覚
研究実績の概要

これまで,脳卒中発症後6 ヶ月程度経過すると機能回復はプラトーと考えられ,その後は機能維持訓練が行われてきた.ところが脳には,神経細胞が破壊されても生き残った神経細胞が役割を代行する能力,可塑性があり,これを利用して神経路に新たな役割を分担させたり強化したりすることで,維持期に至っても麻痺した手足の機能を回復することができる.本研究では,コンピュータグラフィックス(CG)を用いた複合現実感技術や,対象物との接触感覚や反力等の力触覚提示技術を応用し,身体所有感の転移などの錯覚を想起させることで脳に刺激を与え,脳の可塑性を誘発する効果的な感覚運動統合リハビリテーションシステムを開発する.本年度は,手指を対象とした視触覚同時提示ボール回しシステムの開発,および上肢を対象とした運動触覚ミラーセラピーシステムの開発を行った.
手指動作を対象とした視触覚同時提示ボール回しシステムは,上部の映像提示部と下部の触覚提示部で構成した.上部のモニタに健常者がボールを回している動画を提示すると共に,下部に実際にボールを配置し,動画と同期させてモータ制御によりボールを回転させた.被験者は,モニタの下に手を挿入し,下部のボールを軽く握ることで,自分でボールを回している様な錯覚を感じた.本システムを用いて,健常者に対するボール回し技能の訓練効果を検証した.また,MRI対応システムを開発し,運動錯覚誘発時の脳機能の解明を行うための基礎実験を行った.
上肢協調運動を対象とした運動触覚ミラーセラピーシステムは,鏡,運動提示部,および触覚提示部で構成した.運動提示部は,車輪で前後に移動可能かつベルト-プーリ機構とスライダを用いることで左右鏡像運動を可能とし,運動提示部の下には表面に様々な凹凸を有する触覚提示部を設置した.プロトタイプを改良し,病院での検証実験用の機器を開発した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

手指動作を対象とした視触覚同時提示ボール回しシステムを開発し,健常者に対するボール回し技能の訓練効果を検証した.また,MRI対応システムを開発し,運動錯覚誘発時の脳機能の解明を行うための基礎実験を行った.また,上肢協調運動を対象とした運動触覚ミラーセラピーシステムについて,プロトタイプを改良し,病院での検証実験用の機器を開発した.以上の結果から,本研究はおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

今後は,手指動作を対象とした視触覚同時提示ボール回しシステムについて,リハビリテーション効果の検証を行うと共に,MRI対応システムを用いて運動錯覚誘発時の脳機能の解明を行う.上肢協調運動を対象とした運動触覚ミラーセラピーシステムは,検証実験機を用いた実験を実施し,リハビリテーション効果の検証を行う.また,平成29年度以降は,得られた結果に基づき,下肢リハビリテーションシステムの開発や,姿勢制御を対象とした訓練システムの開発を推進する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] バーチャルリアリティ技術とその臨床応用2017

    • 著者名/発表者名
      坂口正道
    • 学会等名
      第15回日本フットケア学会年次学術集会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター
    • 年月日
      2017-03-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 視覚と触覚を同時に提示するボール回しシステムの技能修得効果2017

    • 著者名/発表者名
      馬場健太郎,坂口正道
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2017
  • [学会発表] 鏡を用いた運動錯覚を誘発する両手ボール回しシステムの開発2016

    • 著者名/発表者名
      馬場健太郎,蓑輪洋一,坂口正道
    • 学会等名
      第17回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-12-17
  • [学会発表] Basic Study on Motor Ability Evaluation and Training System Using Virtual Collision Avoidance2016

    • 著者名/発表者名
      Takuya Makishima, Masaki Orimoto, Masamichi Sakaguchi
    • 学会等名
      AsiaHaptics 2016
    • 発表場所
      Mitsui Garden Hotel Kashiwanoha
    • 年月日
      2016-11-30
    • 国際学会
  • [学会発表] Prototype Kinesthetic Illusory Device Using Combination of Active and Passive Motion2016

    • 著者名/発表者名
      Hirokazu Minowa, Kentaro Baba, Masamichi Sakaguchi
    • 学会等名
      AsiaHaptics 2016
    • 発表場所
      Mitsui Garden Hotel Kashiwanoha
    • 年月日
      2016-11-30
    • 国際学会
  • [学会発表] ロボットからバーチャルリアリティまで,医療・介護への工学技術の応用2016

    • 著者名/発表者名
      坂口正道
    • 学会等名
      日本リハビリテーション医学会市民公開講座
    • 発表場所
      名古屋市立大学
    • 年月日
      2016-10-15
    • 招待講演
  • [学会発表] VRによる衝突回避動作計測システムの試作とそれを用いた基礎研究2016

    • 著者名/発表者名
      牧島拓也,坂口正道
    • 学会等名
      第21回日本バーチャルリアリティ学会大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2016-09-16
  • [学会発表] 視覚,触覚および聴覚フィードバックにより運動主体感を生成する手指運動リハビリテーションシステムの開発2016

    • 著者名/発表者名
      坂口正道,西和田昌恭,蓑輪洋一
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2016
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-06-10

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公開日: 2018-01-16  

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