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2017 年度 実績報告書

映像コンテンツのバリアフリー化のための認知特性を考慮した字幕設計評価ツールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H03217
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

大山 潤爾  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00635295)

研究分担者 中島 佐和子  秋田大学, 理工学研究科, 助教 (40453542)
若月 大輔  筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (50361887)
井野 秀一  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 総括研究主幹 (70250511)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード認知支援学 / 視覚ストリーム認知 / 認知心理学 / 認知的バリアフリー / 福祉工学
研究実績の概要

本年度は、約200作品の映画の字幕と映像のデータを分析し,映像と字幕の時空間的な関係性(タイミングや位置)を明らかにした。研究成果は学会発表と誌上発表を行った。
1) 字幕の文字としての特性:まず,作品の上演時間と字幕の総文字数との間には有意な正の相関関係があった.この結果から,時間と字幕の総文字数の間には一定の関係があると考えられる.上演時間1時間当たりの平均文字数は,8586文字であったため,1分あたり143文字,1秒当たり2.39文字が表示されることが分かった.次に,字幕のほとんどは,表示文字数が25文字以内であり,25文字の字幕における表示時間は約4秒であった.Ohyama, Itoh, Kurakata, and Sagawa (2015) によると,若年者は,25文字から30文字で構成された字幕を読み取るのに,最低でも約800ミリ秒,理想的には約1200ミリ秒必要とされている.約4秒という値は,これらの最低・理想的な表示時間を大きく上回っているため,読み取りの困難は生じないと考えられるが,逆に長すぎるとも考えられた。字幕の表示時間はジャンルの種類によって異なる可能性が示唆された.特に時代劇は字幕の表示時間が長い傾向を持っており,この傾向は会話内容の親和性(or 新奇性)に起因する可能性がある.一般に,時代劇における会話内容の親和性は,その他のジャンル(e.g., ドラマ,ミステリ,青春など)よりも低いと考えられる.
2) 字幕の時間的特性:字幕は,カットの開始から250ミリ秒以降に表示されて,カットの終了の数秒前から表示を終える傾向がみられた.カットの開始から少し遅れて字幕が表示されることは,視覚認知の観点から有効と考えられる.
3) 字幕と映像や音声の関係性:字幕は,音声よりも1300ミリ秒もしくは300ミリ秒先行して表示される傾向があった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、約200作品の映画の字幕と映像のデータを分析し,映像と字幕の時空間的な関係性(タイミングや位置)を明らかにした。研究成果は学会発表と誌上発表を行った。計画通りの研究が進められており、成果の発表実績も出ている。

今後の研究の推進方策

映像と字幕の関係性を考慮した字幕アクセシビリティ評価手法の研究(1)と,字幕と映像のデータから字幕設計評価に必要な要素情報を抽出する字幕解析技術の研究(2)を平行して進める.また、最終年度のプロトタイプ開発に向けて、字幕評価要素の解析と評価を行う、評価システムの設計を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 補助字幕設計に関する調査と認知特性に基づく定量評価手法の研究2017

    • 著者名/発表者名
      原田佑規, 大山潤爾
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 117 ページ: 21-26

  • [学会発表] 補助字幕設計に関する調査と認知特性に基づく定量評価手法の研究2017

    • 著者名/発表者名
      原田佑規, 大山潤爾
    • 学会等名
      電子情報通信学会 福祉情報工学研究会

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公開日: 2018-12-17  

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