昨年までの被験者24名(大学生男性(平均22.9歳),女性(平均22.0歳))に加え, 30歳以上の男性4名(平均48.1歳)および女性(平均38.3歳)について,踏み台昇降時(右先行脚,左支持脚)の外側広筋における短縮性収縮(CC)と伸張性収縮(EC)の発生量を測定し,比較検討した。 その結果,各人の下腿長の80%,90%,100%の踏み台を使った昇降運動で,心拍数の増大が年齢に関係なく,男性に比べ女性において高いことが分かった。また,右脚に筋肉痛の有意な変化は認められなかったが,左脚においては,すべての被験者グループで運動2日後に有意に高い筋肉痛が発生し,その程度は女性の方が高値を示し,年齢には無関係であった。これらの結果は,体重に対する筋肉量の違いを反映していると推察された。 また,CC局面とEC局面における筋電図積分値を比較した結果,右脚(79%CC,21%EC)に対して左脚の総筋電図積分値は71~75%であり,そのうち7割程度がECであった。すなわち,右脚外側広筋に比べ,左脚同筋には約2.5倍のECが発生しており,2日後の筋肉痛の原因になっていることが推察された。これらの結果には,年齢差および性差は認められなかった。 以上の結果から,踏み台昇降における支持脚の外側広筋において大きなECが発生し,その程度に年齢差,男女差はないことが明らかになった。性別および年齢を考慮しながら踏み台の高さおよび歩行様式を変えることで,抗重力筋に対して安全にかつ効果的な筋収縮を発生させることが可能である。
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