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2016 年度 実績報告書

日欧連携による教育としての武道に関する国際研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H03223
研究機関筑波大学

研究代表者

酒井 利信  筑波大学, 体育系, 教授 (40281711)

研究分担者 軽米 克尊  天理大学, 体育学部, 講師 (00733148)
木塚 朝博  筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
大石 純子  筑波大学, 体育系, 准教授 (50410163)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード武道 / 教育 / 心身論 / 型 / 二つの心(精神)
研究実績の概要

日本発祥の武道は世界中で盛んに行われているが、外国人の興味は競技としての面白さもさることながらその文化性に向けられている。この傾向は特に欧州に強い。近年、日本人にとっては自明のことであるが外国人にとっては“不思議”と思われていることに、“なぜ武道が教育として位置づけられるのか”という問題がある。本研究はこの問題に対し、日欧の研究者が叡智を結集し国際討論を重ねつつ文献学的手法および調査研究により明らかにしようとするものである。
文献学的には、心身論的アプローチ(Step1)、近世武芸流派における「型」へのアプローチ(Step2)、求められる「二つの心(精神)」の歴史的変遷の解明(Step3)について、ハンガリー、ルーマニアなどの東欧、さらにドイツ、フィンランドの研究者や武道実践者とのディスカッション(Step4)を重ね理論構築を進めてきた。
調査研究としては、武道の現代社会における教育効果の実現の有無、つまり本当に武道を通して立派な心を育てられるのかという問題を、文献学を越えて検証する(Step5)作業を進めてきた。
発信方法としてバイリンガル・ウェブサイト「Budo World」を再構築し、これを介して日本語と英語で研究成果の発信を行うが、「武道の学術情報」「学術論文」「随筆・エッセイ」「映像・写真」「図書紹介」「史料」「フォーラム」「ネットワーク」のコンテンツを整えたサイトを完成させた。更に発信対象としてこれまでのネットワークを拡大させ、日本・ハンガリー・ルーマニア・フィンランド・ドイツ・アメリカ・ニュージーランド・中国・韓国を含む国際的Budo World Networkを構築した。こういったネットワークは従来の武道学にはなかったものであり、学術的に意義があるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

心身論的アプローチ(Step1)については、特に「気」に注目し、近世武芸伝書にみられる「気」に関する記述を網羅的に抽出しデータベース化する作業が完了した。近世武芸流派における「型」へのアプローチ(Step2)については、特に現代竹刀剣道につながる重要な流派として直心影流に注目し「法定」の型についてフィールドワークを援用しながら文献学的に考察をすすめた。求められる「二つの心(精神)」の歴史的変遷の解明(Step3)については、近代以降の変遷についてデータベース化を進めており、既に1200件以上のデータを蓄積した。欧州研究者および武道実践者とのディスカッションによる理論構築(Step4)については、ハンガリー国立体育大学およびエトベシュ・ローランド大学の研究者、ハンガリーやルーマニアの実技実践者との討論を重ねてきた。特に2016年は、ブカレスト(ルーマニア)において、「Outline of Budo History: From Fighting Techniques to Means of Education」と題する講演を行い、これをもとに活発なディスカッションを行った。 調査研究(Step5)としては、大学生武道実践者を対象とした調査を行った。
研究代表者である酒井が理事長を務める身体運動文化学会とのジョイントで、2017年12月に「International Forum on Budo World」を開催することを決定した。

今後の研究の推進方策

心身論的アプローチ(Step1)については、データベース化した近世武芸伝書にみられる「気」に関する記述を分類・考察する。近世武芸流派における「型」へのアプローチ(Step2)については、直心影流の「法定」の型に関する研究を完成させる。更に空手の型と教育的側面について研究を進める。求められる「二つの心(精神)」の歴史的変遷の解明(Step3)については、近代以降についてデータベース化を更に進め、①敵と対峙した時の心(芸道的・求道的精神性)②立派な人間であるための心(倫理・道徳的精神性)のいずれに属するのかという視点から分類し、その歴史的変遷につて近世と比較しながら考察を行う。欧州研究者および武道実践者とのディスカッションによる理論構築(Step4)については、引き続きハンガリーやルーマニアの実技実践者との討論を重ねる。調査研究(Step5)としては、更に調査対象を広げて実施する。
バイリンガル・ウェブサイト「Budo World」のコンテンツを充実させると同時に、Budo World Networkを更に拡大させて、研究成果を継続的に発信する。2017年は、特にルーマニアにおける学術機関および大使館との関係構築に努め、ネットワークの幅を広げる。
身体運動文化学会とのジョイントで、2017年12月に「International Forum on Budo World: Concerning Educational Aspect of Budo」を開催する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 武道史における神授の思想について2016

    • 著者名/発表者名
      酒井利信
    • 雑誌名

      武道学研究

      巻: 49-1 ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Exploring the Educational Value of Bud? in the Framework of Japanese Junior High School Education: From the Perspective of Physical Education Teachers in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Timea Szilvia Kengyel,Junko Ohishi,Yoshinori Okade,Randeep Rakwal
    • 雑誌名

      Sport and Olympic-Paralympic Studies Journal

      巻: Vol.1 No.1 ページ: 1-15

    • 査読あり
  • [学会発表] 近代における直心影流に関する一考察―山田次朗吉と東京商科大学を中心に―2016

    • 著者名/発表者名
      軽米克尊
    • 学会等名
      日本武道学会第49回大会
    • 発表場所
      皇學館大学(三重県伊勢市)
    • 年月日
      2016-09-07
  • [学会発表] Outline of Budo History : From fighting Techniques to Means of Education-2016

    • 著者名/発表者名
      Toshinobu Sakai
    • 学会等名
      Romania Kendo Summer Seminar
    • 発表場所
      Brasov (Romania)
    • 年月日
      2016-08-05
    • 招待講演
  • [図書] たくましい心とかしこい体-身心統合のスポーツサイエンス-2016

    • 著者名/発表者名
      大石純子・酒井利信他・征矢英昭・坂入洋右・高木英樹・中込四郎・鈴木健嗣・前田清司・長谷川聖修・遠藤卓郎・菊池章人・林洋輔・江田香織・西保岳・森達人・清水諭
    • 総ページ数
      237(190-209
    • 出版者
      大修館書店
  • [図書] 日本剣道の歴史(韓国語版)2016

    • 著者名/発表者名
      酒井利信著・李炯旻訳
    • 総ページ数
      176
    • 出版者
      ヘト出版
  • [備考] バイリンガル・ウェブサイト Budo world

    • URL

      https://budo-world.taiiku.tsukuba.ac.jp/

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公開日: 2018-01-16  

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