研究実績の概要 |
本研究は、教育としての武道について、“身体を通して心を変えられる”とする心身(関係)論を切り口とし、その文化的背景の詳細について、日欧の研究者が叡智を結集して国際討論を重ねつつ文献学的に明らかにする。更に、武道の現代社会における教育効果の実現の有無、つまり本当に武道を通して立派な心を育てられるのかという問題を、文献学を越えて調査研究により検証しようとするものである。 当該年度においては、上記目的を達成するために、具体的には「生涯武道」「人間形成」「大日本武徳会」「武士道」等をキーワードとしつつ文献学的なアプローチをしてきた。「生涯武道」「人間形成」については佚斎樗山の著作を取り扱い、生涯にわたる修行の段階を明らかにした。「大日本武徳会」については、従来言われているような教育的な役割は創設期には見られず、むしろ軍部とのつながりによる組織運営がなされていたことを明らかにした。「武士道」については、近代以後の武士階級が消滅して以降の武士道思想に注目し、海外からの視点も踏まえつつ近代教育の視点からその変遷を明らかにした。更に調査研究において、武道実践における心の成長について実証した。 本研究における研究成果を、以下のフォーラムを開催することにより発信した。 ●Educational Power of Budo (Martial Ways) (Forum Organizer).2nd Budo World International Forum, Budapest 2019 Budapest, Hungary,2019.8.28 ●Educational Power of Budo (Martial Ways). 13th Budo World Seminar (Online Conference), Tsukuba Japan-Romania, 2020.3.22
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