研究課題/領域番号 |
16H03228
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
甲斐 健人 東北大学, 教育学研究科, 教授 (50272183)
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研究分担者 |
村田 周祐 東北福祉大学, 総合基礎教育課程, 講師 (00634221)
石岡 丈昇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10515472)
後藤 貴浩 国士舘大学, 文学部, 教授 (20289622)
前田 和司 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30229299)
伊藤 恵造 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40451653)
黄 順姫 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50199147)
金 明美 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50422738)
松村 和則 筑波大学, 体育系(名誉教授), 名誉教授 (70149904)
大沼 義彦 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70213808)
橋本 政晴 信州大学, 学術研究院教育学系, 講師 (90350181)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サッカーの社会学 / スポーツ人材育成 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
シンガポール、カンボジア、タイに関する社会経済的構造、日本企業の動向およびスポーツ市場(サッカー市場)の解明のために、基礎的な資料を収集してきた。各国のサッカー市場は、国家政策に大きく影響を受けるシンガポール、東南アジアでは中心的位置にあるとはいえ一部の富裕層の思惑に左右されがちなタイ、近年急激に発展しつつあるカンボジアとそれぞれである。日本人サッカー選手はタイ、シンガポール、カンボジアの順に存在している。 また、シンガポールならびにタイ、カンボジアでの現地調査を実施し、調査対象者の絞り込みを行っている。シンガポールについては、日本国内でも帰国した元駐在員およびその家族や、一時帰国中のサッカー選手たちを対象としたインテンシブな調査を行った。サッカーとは直接関係のない在シンガポール日本人を対象とした調査の可能な状態にあり、幅広い調査が期待される。タイとカンボジアでは現地の状況把握に努め、次年度以降の調査の基盤を作った。国内で開催した研究会では、各自の研究の進行状況の確認と、今後の研究の方向性について検討した。 その他、東南アジアでプレーした後、日本に帰国し、長野県を拠点に生活している元Jリーガーの調査が進められており、公開の準備を進めている。 現段階で研究成果として公開されているわけではないが、一定の蓄積が重ねられてきており、29年度以降の研究の速やかな進行が期待される。東京五輪を目標にスポーツ人材育成が展開されつつある中で、メディア等に大きく取り上げられることの少ない東南アジアの日本人サッカー移民たちが、様々な社会において暮らしを成り立たせようとする工夫を明らかにすることは、単なる「スポーツ振興論」でも「搾取論」でもない、多様な生き方を可能にする人々の工夫とそれを可能にするグローバル社会の在り方を明らかにすることになろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の大きな課題のひとつであったシンガポール、タイ、カンボジアの社会経済的状況の把握、日本企業の動向、スポーツ市場の解明については、資料を収集した。東南アジアではいち早く経済的にも発達したタイ、後発ながら著しい発展を遂げたシンガポール、近年急速に発展しつつあるカンボジアという概要である。サッカー市場も大規模なプロサッカー市場をもつタイ、小さいながらもプロサッカーリーグを運営しているシンガポール、近年プロ化が進められているカンボジアと、社会経済的状況に類似した動きを見せている。日本人サッカー選手は、大きな市場で多数が活躍しているタイ、日本人チームという特殊な形態が存在し、一定数の日本人プロサッカー選手が活躍するシンガポール、少数ながら選手の移籍が見られるカンボジアという位置づけである。 もう一つの課題であった調査対象や内容の具体化については、シンガポール、カンボジアについては、おおむね調査ターゲットを絞り聞き取りを開始している。タイについては、いくつかの選択肢の中から本研究にふさわしい対象を選定している段階である。特に、シンガポールについては、日本でのインタビュー調査の機会にも恵まれ、研究組織メンバーの中に一定の共通理解が得られてきた。 東南アジアでプレー後、引退した元Jリーガ―の日本帰国後の暮らしぶりに関する聞き取りも進んでおり、暮らしを創造する戦略に迫りつつある。 社会経済的状況に関するデータのより詳細な整理という課題が残されているが、調査の進展等をふまえると、計画はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目にあたる。平成28年度に基盤を作ったシンガポール、タイ、カンボジアにおける現地調査を本格的に実施する。日本企業とのかかわりという視点をふまえつつ、対象者の市場参入や市場形成の実態の解明に努める。現地調査は、シンガポールおよびカンボジアでは対象を絞った調査が可能と思われる。多くの日本人サッカー選手が滞在しているタイの場合は、改めて対象を絞り込む作業が残されている。サッカー選手たちの市場参入を明らかにするためには、彼らと現地日本人駐在員とのつながりについて調査することが不可欠である。シンガポールの場合は元駐在員のつきあいが帰国後も日本で継続しており、そこには個別企業を越えた強固なネットワークが存在している。日本では、元駐在員同士のつながりに関する調査も行う。これまで国ごとに独立して調査を進め研究会で成果を報告してきたが、データの収集状況にあわせて3か国の関係を整理する視点を検討していく。また、引き続き3か国の社会経済的状況に関するデータを補う。 共同研究者の一人である石岡がH28年度はオーストリアに滞在することになった。当初の予定ではスポーツの現代化とグローバリゼーションとタイ調査を担当する予定だったが、東南アジアでの調査は困難が多いと予想されるため、スポーツの現代化とグローバリゼーションのみを担当する。具体的には文献収集等を通じてヨーロッパを中心としたサッカー研究の動向把握と、そこでの東南アジアサッカーの位置づけなどを実施する。本研究の位置付けに関して、新たな知見が得られるものと想定している。 タイ調査を含め、各調査は研究代表者、各国調査リーダーを中心に研究組織メンバーが、適宜、相互に補完しながら実施する。
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