研究課題/領域番号 |
16H03234
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
荻田 太 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50224134)
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研究分担者 |
添嶋 裕嗣 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (00295239)
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
後藤 一成 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60508258)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トレーニング科学 / 高強度間欠的運動トレーニング / 低酸素環境 / メタボリック症候群 |
研究実績の概要 |
【目的】本年度の研究目的は、低強度持続的運動と高強度間欠的運動を低圧低酸素環境で実施し、それぞれの運動が循環代謝諸指標に及ぼす影響について,比較検討することであった。 【方法】被検者は健康な成人男性16名(22±2歳)とし、無作為に2群に分けた。被検者は、50%VO2max強度で30分間の低強度持続的運動(低強度群)、あるいは30秒程度で疲労困憊に至る強度で10秒の運動を10秒の休息を挟みながら6回繰り返す高強度間欠的運動(1日2回:高強度群)のいずれかを、海抜2500m相当の低圧環境において実施した。運動はいずれも自転車エルゴメータ運動とし、週に5日、2週間実施した。トレーニング前後に、最大下強度運動時の循環系応答、動脈スティフネス、身体組成、耐糖能等を測定した。 【結果】トレーニング後、低強度群では、運動時の1回拍出量、心拍出量の有意な増大、血圧、総末梢抵抗(平均血圧/心拍出量)の有意な低下が認められた。さらに、動脈スティフネスも有意に低下した。さらに、糖負荷試験によって評価されたインスリン感受性の有意な改善が認められ、体重、体脂肪率、腹膜前脂肪厚も有意に低下した。一方、高強度群では、運動時の1回拍出量の有意な増加、末梢抵抗の低下傾向、および腹膜前脂肪厚の有意な低下が認められたが、インスリン感受性、体重等には有意な変化は認められなかった。 【結論】本結果より、海抜2500m相当の低圧低酸素環境において、低強度持続的運動では心血管、代謝諸指標に関する有意な改善が認められたが、短時間高強度運動では持続的低強度運動と同様の効果が得られるまでには至らなかった。ただし、本結果には、被検者のトレーニング前の身体状況(全員が健康で正常範囲内)が影響していたことも考えられ、今後は運動強度、運動時間、トレーニング期間などを変えて、多角的な検討が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は、従来の低強度持続的運動トレーニングと高強度間欠的運動トレーニングの両方を低酸素環境下で実施し、その成果を比較するまでに至った。必ずしも仮説通りの結果ではなかったが、ひとつの原因としては、用いた被検者が体育学専攻の健康な大学生ばかりであり、トレーニング前の値も、すべての指標において極めて優良な正常値であったことが上げられる。トレーニングプロトコールの見直しを含め、多角的な再検討が必要とであると思われるが、研究としては一定の成果を得たため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、28年度の実験成果を鑑み、さらに運動強度を変えたプロトコールを用いたトレーニングを実施し、メタボリック症候群の危険因子改善に及ぼす影響について明らかにする予定である。今年度の結果が必ずしも仮説通りでなかったことから、運動強度の変更だけでなく、トレーニング環境を含め、新たな検討を加える予定である。
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