研究課題
1.ヒト全身の順動力学シミュレーションモデルを構築した。モデルの骨子となる運動方程式は力学解析ツールを用いて導出した。そのモデルに筋・腱・神経系からの指令等のモデルを組み込んだ。これは現時点では、23の自由度を持つ剛体リンクモデルとして構築されており、精度の高いシミュレーションが可能である。MATLAB言語で記述されたものとC言語で記述されたものの2つを作成した。2.画像処理の技術を用いて、時々刻々の歩行・走行速度を同定するアルゴリズムを考案し、これをプログラムとして実装した。このアルゴリズムでは被験者の映った画像から背景画像を差し引くことで、被験者の身体が存在する空間的領域を同定する。その位置座標を時間微分することで時々刻々の速度を求める。作成したプログラムの精度をモーションキャプチャーデータと比較対照して検証したところ、平均誤差3%程度の精度が確認出来た。このアルゴリズムについては国際誌に論文としても掲載されており、また特許も出願済である。3.赤外線を利用した光学センサを用い、マーカーレスに動作解析を実施するシステムを構築した。これを用いることで、従来の大がかりなモーションキャプチャーシステムを用いずに3次元のデータ取得と運動学解析・動力学解析を行うことが可能となった。現時点では高い精度は実現できていないが、精度を高めるための糸口は見いだせている。4.小型・軽量・ウェアラブルな慣性センサを用いて、歩行動作時の身体各部位の加速度情報を取得した。これを数理解析することにより性差・年齢差についての検討を行った。また歩行動作のパターンを筋のシナジーに注目して解析し、各集団の特性を検討する試みを行った。この研究成果については既に国際誌に論文として掲載されている。
2: おおむね順調に進展している
全身運動のシミュレーションを可能とするシミュレーションモデルを構築した。また、光学式カメラ、ならびに赤外線センサを用いた新たな動作解析のシステムを構築した。更に、小型・軽量・ウェアラブルな慣性センサを用いた歩行動作の数理解析を行った。これらはいずれも平成28年度の課題として計画していたものである。よって本研究は概ね順調に進展していると判断する。
1.平成28年度に構築したシミュレーションモデルを発展させ、より汎用性が高いものとする。特に筋・腱・脂肪組織等の軟部組織の特性をより良く反映させたものとする。どの要素を組み込みか、どの様な力学モデルを用いるかについてもより深く検討し、モデルの構成を最適化する。2.2016年度に開発した歩行・走行の速度を同定するアルゴリズムについて、実用化を推進する。実用プログラムはタブレット端末のアプリケーションとする予定である。作成したアプリケーションはオンラインストアに登録し全世界で容易に使用できる様にする。3.ダイナミックな全身運動中について、動作が生成されるメカニズムを順ダイナミクス・逆ダイナミクス両方の手法を用いて考察する。従来典型的に用いられている手法と、本研究で開発した軟部組織の特性を考慮した手法の両方を用いた検討を実施する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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