研究課題/領域番号 |
16H03238
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長野 明紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30392054)
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研究分担者 |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10454076)
藤本 雅大 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10732919)
大塚 光雄 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20611312)
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シミュレーションモデル / 衝撃力 / 加速度 |
研究実績の概要 |
1.前年度までに構築した筋骨格系シミュレーションプログラムを改訂し、個々人の身体特性に容易にカスタマイズ出来るものにした。シミュレーションモデルには全身の身体形状、個々の筋の筋量、筋の生理学的横断面積、起始・停止の位置、筋束長、皮下脂肪・内臓脂肪の分布、内臓器官の分布、骨格系の形状、等のパラメーターを組み込める様になっている。これらのパラメーターは完全に独立したものではなく相互依存関係を持つものもあるので、値を定める際にはこの依存関係を考慮する必要がある。本研究ではこの依存関係もシミュレーションモデルに組み込み、適切なパラメーター値を矛盾なく設定できる様にした。モデルは2次元と3次元のものを作成している。2次元モデルについてはC言語で記述したものとMATLAB言語で記述したものを作成した。3次元モデルについてはMATLAB言語で記述したものが完成しており、現在C言語で記述したものを作成中である。またこれらのモデルを用いて跳躍動作のシミュレーション研究を行った。
2.歩行・走行動作中に身体各部に作用する衝撃の評価を行った。頭部・腰部・大腿部・下腿部・足部に小型・軽量・ウェアラブルな加速度センサを装着し、床反力計を内蔵するトレッドミル上で歩行・走行動作を実施した。従来のこの種の研究では、一歩または数歩のデータ取得と分析を行っているが、本研究では各速度で5分以上のデータ取得を行い、その全ての分析を行った。衝撃の平均値のみならず変動性にも着目した。加速度および床反力のピーク値についても変動性についても、歩行・走行速度が上昇するにつれ値が大きくなる傾向が見られた。またいずれの値についても、値は足部で最も大きく、頭部方向に向かうにつれ小さくなった。これは身体の軟部組織の粘弾性の影響であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全身運動のシミュレーションを可能とするシミュレーションモデルについて、前年度までに作成したものの汎用性を大きく高めた。また、このシミュレーションモデルを用いて跳躍動作のシミュレーション研究を行った。更に、小型・軽量・ウェアラブルな加速度センサを用いて歩行・走行動作中に身体に作用する衝撃の評価を行い、現在原著論文をまとめているところである。これらはいずれも平成29年度の課題として計画していたものである。よって本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成29年度までに構築したシミュレーションモデルについて、3次元モデルのC言語で記述したバージョンを完成させる。これはMATLAB言語で記述したバージョンよりも大幅に高速動作することが予期されるので、必要不可欠な課題である。
2.これまでに構築したシミュレーションモデルについて、その妥当性を検証する。平成30年度は比較的単純な動作を用いて妥当性を検証しつつ、モデルとシミュレーションプログラムのブラッシュアップも行う。具体的には椅子からの立ち上がり、反動無しの垂直跳び、反動有りの垂直跳び、腕振り動作を加えた垂直跳び、ホッピング、歩行、走行、等の動作を用いる予定である。また筋力測定装置を用いて等速性の筋力発揮課題を行う。これらの動作において、シミュレーションの結果と実際の被験者の動作が限りなく一致する必要がある。乖離が見られる場合にはモデルが現実の被験者に十分に近似していないと考えられるため、モデルの自由度、パラメーターセットの選択、筋の力発揮能力特性などを見直し、改訂を加えていく。
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