研究課題
今年度は,骨格筋の持久性運動適応おけるmiRNAの関与を概観するため,ほぼすべてのmiRNAを血管内皮細胞において欠損するマウス(Dicer1血管KO)および骨格筋においてそれらを欠損するマウス(Dicer1筋KO)を対象に,持久性運動による骨格筋適応の解析を試みた.はじめに,血管内皮細胞においてmiRNAを欠損させるため,Dicer1 floxedマウスとVE-cadherin-Creマウスを交配させ,血管内皮細胞特異的にDicer1を欠損させたマウスを得たが,解析の結果,血管内皮細胞およびその他の組織でDicer1の発現は低下しなかった.さらに血管内皮細胞特異的なmiRNAも減少していなかった.この原因は現在も不明である.次に,Dicer1 floxedマウスとTie2-Creマウスを交配させ,血管内皮細胞および血球系特異的にDicer1を欠損させたマウスを得た.現在このマウスの表現型を解析中である.一方,Dicer1 floxedマウスと骨格筋型クレアチンプロモーターを有するCkmm-Creマウスを交配させ,骨格筋においてmiRNAを欠損するマウスを得た.これらのマウスでは骨格筋においてDicer1およびmiRNAの減少が認められ,骨格筋においては速筋特異的な筋萎縮が認められた.また,このマウスに4週間の自発走運動を負荷したところ,運動による骨格筋適応の一部が障害されていた.
2: おおむね順調に進展している
Dicer1 floxedマウスとVE-cadherin-Creマウスを交配させたマウスでは,血管内皮細胞およびその他の組織でDicer1の発現は低下しなかったが,floxedマウスをTie2-Creと交配させることで目的のマウスを得ることができたため.
次年度以降も継続して,血管内皮細胞においてmiRNAを欠損するマウス(Dicer1血管KO)および骨格筋においてそれらを欠損するマウス(Dicer1筋KO)を対象に,持久性運動による骨格筋適応を解析するとともに,特定のmiRNA欠損マウスを用いた骨格筋持久性運動適応ついても解析を開始する.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
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http://www.waseda.jp/sem-muscle/index.html