研究課題/領域番号 |
16H03242
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
一之瀬 真志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (10551476)
|
研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | スポーツ生理学 / 生体医工学 / 循環調節 / 末梢血流量 / 光技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,従来の活動筋血流量測定法の問題を解決するために拡散相関分光法(DCS)を用いた新たな測定法を開発・確立し,運動時における活動筋血流量反応とその調節メカニズムおよび運動トレーニングの影響を明らかにすることである.平成29年度では,前年度までに作製したDCS血流計による骨格筋血流量測定の妥当性を超音波法との比較から検討した. 健康な男女16名を被験者とした.実験的に前腕組織血流量の増加および減少を引き起こした際にDCS血流計と超音波法による測定を同時に行った.前腕組織血流量を増加させる方法として反応性充血を用いた.上腕部において阻血用カフにより動脈を完全に阻血し,阻血を急激に開放した際の血流量増加反応を測定した.阻血時間を30秒,90秒,180秒,300秒の4段階に設定し,血流量増加の程度を変化させた.前腕組織血流量を減少させる方法としては,上腕部における部分的阻血を用いた.カフ圧を1分毎に40mmHg,80mmHg,120mmHgと漸増させた後,完全阻血を行った. DCS血流計と超音波法のいずれにおいても,反応性充血による血流量増加の程度は阻血時間の延長にともない漸増し,両測定の値には有意な相関がみられた.しかし,DCS血流計により得られた血流量増加反応は,超音波法よりも最大値に至るまでの時間が長く,また,180秒以上の阻血では血流量増加の程度が大きかった.部分的阻血による血流量漸減時における両測定の値にも有意な相関がみられた. これらの結果から,DCS血流計による測定値は,安静時からの血流量の広範囲な増減幅において,超音波法と有意な相関を示すことが明らかとなり,その妥当性が確認された.また,反応性充血において,DCSにより測定される骨格筋血流量の応答と,超音波法により測定される皮膚や脂肪などを含む前腕全体の血流量の応答には異なる特徴が存在することが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画は,大きな変更や問題がなく進めることが出来た.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,平成28年度から平成30年度までの3年計画を予定している.昨年度までに,骨格筋組織の血流量測定に対応したDCS血流計を作製し,ヒトを対象とした実験により骨格筋血流量測定の妥当性を確認してきた.平成30度では,動的運動にともなう骨格筋の収縮・弛緩が骨格筋内の血流動態に及ぼす影響についてDCS血流計を用いて検討する予定である.また,本年度は研究期間の最終年度にあたることから,研究成果のまとめやこれまでに得られている研究成果の発表にも注力したい.現時点では,本年度の研究計画を進めるうえで大きな問題はみあたらない.
|