研究課題
本研究は疲労感が生じる神経メカニズムおよび疲労感が活動能力の低下を引き起こす神経メカニズムの双方を明らかにすることを目的としている。平成28年度および29年度はそれらの中で疲労感が生じるメカニズムを中心に検討する研究計画であった。我々はこれまでに、疲労感が生じるメカニズムの一つとして、過去に疲労した経験が学習されることにより、実際には身体的・精神的な活動をしていないにも関わらず疲労感が生じることを明らかにしており、慢性疲労の病態生理に深く関わっていることが示唆されている。先行研究では疲労の学習は意識下(conscious)で行われていたが、疲労の学習が無意識下(subconscious)で行われるのか、そして疲労が無意識下で学習される場合には疲労感が出現し得るのかを明らかにすることは疲労感の生じる神経メカニズムを明らかにする上で大きな手がかりとなると考えられる。本年度は、疲労が無意識下で学習され得るのか否かを検証するための新規実験パラダイムを作成し、疲労の学習が無意識下で生じるのか、生じる場合には疲労感が出現し得るのかを検討した。その結果、疲労の学習が無意識下で生じ得ること、そしてその際に疲労感は出現しないことが明らかになった。これらは、疲労感のメカニズムを考える上で非常に重要な知見であるだけでなく、次年度以降の疲労感が活動能力の低下を引き起こす神経メカニズム研究にも直結していると考えられ、本研究課題の遂行に大きく貢献する成果である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は疲労感が生じる神経メカニズムを明らかにする研究を中心に、来年度以降に計画されていた疲労感が活動能力の低下を引き起こす神経メカニズムを明らかにする成果も得られつつあるなど、順調に進行している。
平成29年度以降も、疲労感が生じる神経メカニズムおよび疲労感が活動能力の低下を引き起こす神経メカニズムの双方を明らかにする研究を実施する計画である。当初の研究計画から大きな変更はない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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