研究課題/領域番号 |
16H03252
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90270834)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CYP11B2 / アルドステロン / 脂肪細胞 / 肥満高血圧 / 創薬 |
研究実績の概要 |
肥満・メタボリック症候群患者では高血圧が高頻度に合併することが知られている。その一因として、脂肪細胞から分泌されているアンジオテンシン(A)IIとは異なるアルドステロン分泌刺激因子の関与が示唆されているが、その本態は未だ不明である。本研究で我々は、肥満高血圧の病態解明を目的として、脂肪細胞から分泌される未知のアルドステロン合成酵素(CYP11B2)発現誘導因子の同定を目指す。マウス線維芽細胞由来3T3-L1細胞を脂肪細胞に分化させ、分化脂肪細胞の培養上清を取得した。取得した上清を、ヒト副腎癌由来H295R細胞を用いたスクリーニング系に添加した後にCYP11B2転写活性・mRNA発現量を測定したところ、分化脂肪細胞培養上清中にCYP11B2発現誘導因子の存在が確認された。このCYP11B2発現誘導活性は、同培養上清の熱処理にて失活した。LC-MS/MS法を用いた検討にて、同培養上清中にはAIIは認められなかった。同培養上清の分子量による分画・H295R細胞を用いたスクリーニングにより、分子量50~100kDa画分にCYP11B2発現誘導能を見出した。さらに、100kDa以下の画分を用いてLC-MS/MS法を施行したところ、12種の候補因子が確認された。現在、12種の候補因子それぞれに関してcDNAを単離し、HEK293T細胞を用いての過剰発現を施行してCYP11B2発現誘導活性を検討中である。本検討から、分化脂肪細胞培養上清中にはAIIとは異なる未知のCYP11B2発現誘導因子が存在していることが確認されたが、本因子がアルドステロン分泌を介して肥満患者における高血圧・動脈硬化を招来している可能性も考えられることから、将来的には本因子を標的とした肥満・メタボリック症候群の新規創薬を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
得られた12候補因子の中の1因子がCYP11B2発現誘導因子であることがほぼ確定的となっており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
早急にCYP11B2発現誘導因子を同定した後、動物実験ならびに抗体作成・ELISA系の確立を進める。
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