研究課題
メタボリック症候群・肥満患者における高血圧の制御は、国民の健康寿命延伸・医療費削減の両面から喫緊の課題である。近年、脂肪細胞由来の未知の液性昇圧因子が直接副腎に作用することによりアンジオテンシンIIとは独立してCYP11B2発現・アルドステロン分泌を亢進させ、肥満高血圧症の原因となっている可能性が示唆されている。本研究の目的は、同因子を単離・同定して機能解析を行った後、同因子を標的とした肥満高血圧症の新規創薬を進めることである。まず、ヒト副腎腫瘍由来H295R細胞に脂肪細胞より取得した培養上清を添加し、CYP11B2の発現誘導を指標に分子量による分画を行った。その結果、CYP11B2発現誘導能を有する画分を見出した。次に、同画分を質量分析装置にて解析することにより、液性因子の同定を行った。その結果、52種類の候補因子が同定された。さらに、それらの中からシグナルペプチドの存在が想定された12種類の因子を同定した。これらの因子中にはタンパク分解酵素AならびにAの作用により活性化する因子Bが含まれていた。そこで、タンパク分解酵素阻害剤の投与実験ならびに活性化されたBの受容体に対する阻害剤の投与実験を行ったところ、いずれにおいても培養上清が有するCYP11B2発現誘導活性の低下が認められた。以上の結果から、タンパク分解酵素AとAの作用により活性化する因子Bは脂肪細胞培養上清におけるCYP11B2発現誘導因子の有望な候補因子であることが示唆された。今後の本プロジェクトの遂行により、肥満高血圧症の新規創薬・治療法の開発が進むものと期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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