研究課題/領域番号 |
16H03253
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中川 嘉 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80361351)
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研究分担者 |
島野 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
松坂 賢 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70400679)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 慢性炎症 |
研究実績の概要 |
関の中でのCREBH機能を検討するため、フルクトース摂食時における代謝変化を評価し解析を行った。高フルクトース食を8週間負荷し脂肪肝を誘導したところCREBH KOマウスではWTマウスより肝臓での脂質蓄積は軽減していたが、血中の肝障害マーカーは著しく上昇しており、肝炎を呈することを見出した。さらに糖代謝に関わる因子について遺伝子発現解析を行ったところ律速転写因子であるChREBPの標的である代謝酵素群が低下するとともにChREBPの発現・タンパク量も低下した。CREBHは遺伝子発現レベルでCHREBPを調節し、糖代謝を調節する因子であることを見出した(投稿準備中)。 脂質代謝異常の終末像である動脈硬化に与えるCREBHの影響を検討した。すでにCREBH KOマウスでは動脈硬化を悪化、肝臓特異的CREBH Tgマウスでは改善することを明らかにしている。さらにCREBH組織特異的KOマウスと動脈硬化モデルマウス(LDLRKOマウス)と交配し、動脈硬化発症を評価した。CREBHは肝臓、小腸のそれぞれで欠損しても動脈硬化が悪化し、それぞれの組織でのCREBHが動脈硬化発症の原因となることを明らかにした。CREBH Tgマウスでの改善にCREBHの標的であり、動脈硬化改善効果のあるFGF21が寄与しているかを検証するため、FGF21 KOマウスと肝臓特異的CREBH Tgマウス、LDLRKOマウスを掛け合わせた。結果、FGF21欠損により、CREBHは動脈硬化が若干弱まる結果を得た。つまり、CREBHによる動脈硬化改善にはFGF21以外の寄与があることを明らかにした(投稿準備中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CREBHによる糖代謝への直接的な効果について、CREBH KOマウスに短期的な糖質負荷試験を行っている。フルクトース負荷試験ではWTマウスと比較し、血糖値には変化がなかったのに対し、血中インスリン値は試験中拘置を示した。また、グルコース、フルクトースを1日摂取させるとやはり、CREBH KOマウスではインスリン高値を示す。CREBH KOマウスの肝臓での遺伝子発現ではChREBP、PPARα、LXRαなどの糖・脂質代謝を制御する転写因子の発現が低下しており、CREBHの欠損が栄養代謝調節因子全体を制御することを推察している。 CREBH欠損マウスは現在までに全身の欠損マウスと、CREBHが発現する肝臓と小腸のそれぞれの組織特異的KOマウスを作成している。しかしながら、組織特異的過剰発現マウスは肝臓のみであった。そのため、新たにCre-loxPシステムで過剰発現するマウスを作成している。現在までに元となるCREBH flox Tgマウスを作成し、肝臓、小腸の組織特異的Tgマウスが作成できたのを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
CREBH全身欠損のマウスでの解析はできつつある。今後は組織特異的、特に小腸特異的KOマウスを用い、小腸での機能を解析していく予定である。新たに作成された小腸特異的CREBH Tgマウスも用い、栄養吸収、小腸を起点とする栄養代謝のCREBHの機能を明らかにする。 現在までに明らかにできている研究成果について、論文公表に向け論文作成とそれに必要な研究を行っていく。
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