研究課題
近年,運動療法によるNAFLDの優れた改善効果が判明している.NF-E2 related factor 2 (Nrf2) は侵害刺激に対して,生体が発動する防御機構を制御する転写因子である.NAFLD男性肥満者を対象とした3ヶ月間の有酸素性運動は,各Nrf2標的分子(NQO1,HO-1,Catalase,GCLM,GCLC,GPX)の遺伝子発現を増加させた.有酸素性運動は,Nrf2活性化を介した抗炎症・酸化ストレス応答を誘導することで様々な炎症や酸化ストレス障害を改善させると考えられた.酸化ストレス可視化マウスを用いて,続的走運動がNrf2の活性化を誘導するかを検討したところ,in vivo imagingにおいて,骨格筋,肝臓,内臓脂肪組織におけるNrf2の活性化が確認された.また,Nrf2の賦活化は,続的走運動が誘導する骨格筋の酸化ストレスと筋損傷を抑制し運動耐容能を向上させた.さらに,続的走運動を負荷によりKupffer細胞の異物貪食能が増大しLPSの除去能が増大することを見出した.ヒトメタボリック症候群に類似する過食肥満モデル“p62 遺伝子欠失マウス”に60 %高脂肪食を摂餌させると重症の脂肪性肝炎を発症することを見出し,本マウスに対して継続的走運動による肝病変の改善効果について検討した.運動群(Ex)は安静群(Rest)に比較して,肝脂肪化に差は認められず (Ex 2.3 ± 0.2,Rest 2.7 ± 0.2),炎症 (Ex 0.8 ± 0.2,Rest 1.6 ± 0.2,P < 0.05)および線維化 (Ex 0.3 ± 0.2,Rest 1.4 ± 0.3,P < 0.05)の改善が認められた.継続的走運動による肝病変の改善(特に炎症と線維化の改善)の背景には,Nrf2活性化を介した抗炎症・酸化ストレス応答の誘導が関連していると考えられた.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (5件)
Diabetes Metab Syndr Obes
巻: 12 ページ: 495-503
Physiol Reps
巻: 7 ページ: e14062 (1-12)
Cancer Chemo Pharmacol
巻: 83 ページ: 659-670
Asian J Psychiatr
巻: 32 ページ: 67-72
10.1016/j.ajp.2017.11.017. Epub 2017 Dec 2.
JACC Clin Electrophysiol
巻: 4 ページ: 339-350
10.1016/j.jacep.2017.12.020. Epub 2018 Mar 19.
臨床心臓電気生理
巻: 41 ページ: 205-212
Circ J
巻: 82 ページ: 2385-2444
10.1253/circj.CJ-66-0153. Epub 2018 Aug 11.
Experimental Animals
巻: 67 ページ: 201-18
J Gastroenterol
巻: 53 ページ: 535-47