研究課題
大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターとともに、双生児サンプル(ゲノムDNA、安定化RNA、血清等)を収集し、同時に疫学調査(病歴調査、食事調査など)や臨床検査を行って被験者の基礎情報を解析した。サンプル数が疾患の解析には不足していたため、まずはサンプル数が小さくても解析可能であった性別によるDNAメチル化感受性の相違を解析することとし、一卵性双生児のペア二人の間で約45万か所のDNAメチル化率を比較した。その結果、常染色体では男性においてDNAメチル化率のペア二人の間での乖離が大きく、メチル化の個体差が大きい可能性を示したのに対し、X染色体では女性ペアのほうが乖離が大きく、女性でメチル化の個体差が大きい可能性がわかったため、学術論文として公表した。これは、男性のほうがエピゲノム変化に影響する環境要因への暴露に多様性がある可能性や、そもそも男性のほうがメチル化感受性が高い可能性を示唆している。さらに、男女でのメチル化感受性が大きく異なっていた部位は、疾患感受性に男女差が知られている疾患の原因遺伝子との関連も考えられ、疾患発症の性差にも男女のメチル化感受性の差が関連している可能性が示唆される。引き続き平成29年4月以降に研究計画を延長してサンプリングを実施した結果、有病頻度の大きい疾患に関しての解析が可能となるサンプル数(約440組)を得ることができたため、陽性頻度の高い自己抗体の出現について一致していない一卵性双生児ペアを対象に、メチル化の影響を探索している。
3: やや遅れている
被験者のサンプリングがやや遅れており、平成28年度末には研究計画で想定したサンプル数に至らなかったため、平成29年度にも一部の研究計画を延長して実施した結果、解析可能なサンプル数に至った。
サンプル数が必要最小限確保できたため、疾患とエピゲノム変化との関連を解析開始することとし、頻度の大きい疾患として、自己免疫性甲状腺疾患について、疾患感受性とDNAメチル化との関連を解析する。メチル化が疾患に影響する個体差も想定し、双生児ペアごとの遺伝子多型もあわせて疾患感受性への影響を解明する。これと併せて、引き続きサンプリングを続行するとともに、RNAに対しCAGE法を中心とした遺伝子発現解析を行って実際の遺伝子発現の相違を一卵性双生児で明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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