研究課題/領域番号 |
16H03266
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
重本 和宏 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40284400)
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研究分担者 |
森 秀一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30508677)
本橋 紀夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50532727)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サルコペニア / 筋萎縮 / 筋線維タイプ変化 / 代謝変換 / 生体内因子 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
サルコペニア・筋萎縮に至る過程では、筋線維と筋断面積の減少だけでなく、一方向性の骨格筋線維タイプ変化(サルコペニア:速筋線維の割合の低下と遅筋線維の割合の増加)がおきる. すなわち、本来、筋線維が有するタイプ変化の可塑性が喪失することがサルコペニアのメカニズムに大きく関わることが考えられる. また、筋線維タイプ変化はその固有の代謝特性の変化も伴うがメカニズムは未解明である.
もし、筋線維タイプ変化(代謝特性の変化)の可塑性を維持することができるようになれば、サルコペニアの予防に有効であると予想される. 一方で、代謝特性の変化を伴う各筋線維タイプを生きたままの状態で観察することはこれまで不可能であった. そこで、マウスの4種類の筋線維タイプ全てが異なる蛍光タンパクで生きたまま識別できるMusColorマウスと、可塑性のメカニズムを解明することができる新しい技術を開発した.
そして、MusColorマウス由来の温度感受性の不死化筋幹細胞を用いて骨格筋線維の代謝変換(筋線維タイプ変換)を誘導する生体内因子・マイオカインを複数同定した. 候補の1つはin vitroでtype1遅筋線維を誘導することをMusColorマウスの蛍光色で確認、さらに細胞外フラックスアナライザーで代謝変換の解析を行なった. 次に、マウスに候補因子を投与すると生体内でも遅筋線維を誘導して、筋萎縮と代謝機能の低下を組織化学的解析で確認した. また、この生体内因子は加齢とともにマウス血中で増加することがわかった. 発見した因子による筋線維タイプ変化の誘導分子機構を解明するために、新規誘導因子による筋線維タイプ変化と代謝変換のメカニズムを解明するために受容体の下流シグナル分子の遺伝子変異マウスを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数同定した因子の中から当初考えていた因子以外で加齢とともに上昇する新しい因子を同定しており、その因子に着目して研究が進んでいる. 同定した因子による筋線維タイプに重要な役割を担う遺伝子候補を発見している.
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今後の研究の推進方策 |
①MusColor同定した因子のシグナル伝達機構に関わる遺伝子の改変マウスを使い分子機構を引き続き解析する。 ②筋線維タイプ変化・代謝変換を誘導する因子をマウスに投与して詳細に解析する. ③筋萎縮モデル(加齢性筋萎縮、廃用性筋萎縮など)マウスを用いて筋線維タイプ変換誘導因子・薬剤を投与して、筋萎縮の予防効果を検討する.
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