研究実績の概要 |
アレルギー疾患は、複数の遺伝要因と環境要因が複雑に関わって発症する多因子性疾患である。本研究では出生前からの詳細なデータが利用可能な出生コホートサンプルである成育コホート研究の参加者を対象として、数十万万SNPの遺伝子型を決定し、アレルギー疾患(喘鳴、湿疹、鼻炎、食物アレルギー、花粉症など)ならびに中間形質(特異IgE抗体陽性、総IgE値等)との関連解析を行う。さらに環境要因と遺伝子型の相互作用解析による環境要因を含めた疾患発症の解析、疾患予測モデルの開発を行うことを目的としている。 平成29年度は、本研究のコホートに最適なタイピングプラットフォームを選定することを目的として、東アジア人9000人の全ゲノムシークエンスに基づいて設計されたAsian Screening Array (illumina)を使用して96人の遺伝子型決定を行った。GenomeStudio version 2.0を用いて得られた遺伝子型についてはPLINKソフトウェア(Purcell S et al.,2007) を使用して、解析を行った。遺伝子型決定率の平均は、98.7%以上と良好であった。常染色体の遺伝子多型うち、minor allele frequency (MAF) > 1%のものは558048個(84.7%)であった。皮膚の保湿成分であるフィラグリンの機能喪失変異はアトピー性皮膚炎、食物アレルギーとの関連が示されている。ASAアレイに搭載されているFLGの機能喪失変異の一部(S2554X,S3296X,L4022X)について別の手法でタイピングされた結果との比較したところ、96サンプルの検討と少ないサンプルサイズではあるが、結果は全て一致していた。
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