研究課題/領域番号 |
16H03272
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
新小田 春美 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70187558)
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研究分担者 |
児玉 豊彦 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (10549166)
若林 哲史 三重大学, 工学研究科, 教授 (30240443)
盆野 元紀 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員(移行) (30416200)
白水 雅子 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (30735212)
松本 あさみ 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 助手 (50805546)
新小田 幸一 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (70335644)
大林 陽子 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (70551224)
國分 真佐代 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (80289876)
平山 雅浩 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90293795)
野呂 雄一 三重大学, 教養教育院, 教授 (50189453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NICU環境 / AAP環境基準 / 等価騒音レベル / 睡眠覚醒行動 / 早産児 / State |
研究実績の概要 |
研究目的:NICU入院中の早産児に対して、子どもに優しい成育環境基準化(照度、音など同調因子)と、児にとって望ましいケアのタイミ ングに示唆をうる為に、看護師の観察によるState(新生児行動評価)判定を踏まえたケアとその生理的特徴を明らかにする。 方法:2017年度に実施した、NICUスタッフの治療環境に関する認識調査や環境測定(Step1)の結果を分析し、現状の環境課題を明らかにした。5施設とも、音圧はAAPのNICU環境基準より高かった。照度は、日中は100から200Lux、夜間は50Luxにほぼ保たれているが、音圧は、持続的な騒音と1時間Leq(等価騒音レベル)が45dB、処置・作業時の騒音との合計が1時間L10(10%時間率騒音レベル)で50dBを上回らないようにする。一時的な騒音またはLmax(最大騒音レベル)が65dBを上回らないが、5施設とも、平常時が平均65db程度であり、児にとって照度よりも騒音対策の必要性が示唆された。 Step2では6例の対象児の昼帯と夜帯の環境刺激の違いによるストレス状況を、授乳時の入眠行動の観測によって分析するために、①環境統一のため保育器覆布にて昼帯(200lux 程度)、夜間(50lux以下)に照度を調整②児の足首に小型活動計を装着して24時間±2時間程度の継続観察③昼帯と夜帯のそれぞれ1回の授乳時間において、授乳30分前から授乳終了後(経口哺乳または経管栄養注入後)1時間30分の間の2時間ビデオ撮影。④児の生理的反応(呼吸心拍モニター、SpO2センサーより収集) を授乳経過による推移と、Stete判定とそれに合わせた生理的反応の特徴を分析した。 Step3:収集したビデオ画像分析による新生児の睡眠状態自動判定システムの試案に取り組み始めた。環境測定の結果は、2018年三重母性衛生学会でその成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステップ1研究:環境認識調査(管理者用、スタッフ用)を三重県のNICUを有する周産期施設6施設で実施する。医師及び看護職 を対象に約150部確保を目指す。環境観測には三重県全NICUを対象に実施協力をお願いする予定である。(4-7月) ステップ2研究:本調査の核となる児の活動量と睡眠・行動観察、身体生理的モニタリングによって、明暗環境における児の睡 眠・覚醒行動観察による特徴を明らかにする。(大学病院NICUにて7月~平成31年3月まで継続的に協力依頼予定)。対象となる 被検者の確保に時間を要するため、大学病院のほか、公立病院など複数の施設で実施できるよう施設交渉と倫理委員会の準備を 行う。治療環境に対する児への影響について環境問題意識を持ってもらえるように研修会を企画し、NICU環境改善への意識改革 への働きかけにつなげるなど啓発的な活動も企画を検討する。協力対象数は月に1-2例の見通しであるため、データ収集ごとに データ解析などを同時進行で行う予定である。 ステップ3研究:ビデオ画像分析による新生児の睡眠状態自動判定システムの検討 看護職の観察力の強化に役立つために、協力児のビデオ画像分析によるState自動判定プログラムを試作する。新生児の睡眠 状態を自動判定するカメラベース手法を開発し、新生児に負担をかけることのない見守りシステムを実現を目指す。ステップ2 ~ステップ3までの過程には、症例確保に時間を要するので、症例ごとにステップ3まで進める流れである。看護職による観察 と、生理的適応反応の分析を上記3視点よりデータ収集し、児にとって望ましい環境基準の検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
Step2の症例を目標値に近づけるためにデータ収集を継続する。また、早産児の対象の収集が困難なので、成熟児について観測を追加することを検討する。State判定の信頼性を高めるために、NBAS(Neonatal behabioural assessment scale)認定講師よりStete判定をいただいて、それをStaep3のビデオ画像のAIによるStete自動判定プログラム作成につなげる。Step1-step3までの成果を総合的な視点で教育教材の開発に向けたまとめとする予定である。
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