研究課題/領域番号 |
16H03273
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
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研究分担者 |
山本 知加 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (30581558)
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
武井 教使 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80206937)
吉崎 亜里香 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教(常勤) (90600552)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小児睡眠 / 神経発達 / アプリ / 双方向性 / スマホ |
研究実績の概要 |
乳幼児の養育者を対象としたスマホを用いた双方向性睡眠啓発アプリ「ねんねナビ」を用いて東大阪市での1年間の実装研究を行った。具体的には就寝時刻が22時以降になることがある、または、夜間睡眠時間が9時間未満になることがある、または中途覚醒が頻回にある小児を2018年度から1歳半健診でリクルートし、介入群36名、対照群51名に分け、介入群では1ヶ月に1回、睡眠専門家が個別のアドバイスを送ることを1年間繰り返した。 1)実装研究の結果を解析した。介入群におけるドロップアウト率は8%と極めて低く、その理由は早期に改善しその後の介入が不要となった者が5%、スマホの通信速度のトラブルが3%であった。介入群では平均起床時刻が有意に前進し、入眠潜時が有意に短縮するなど睡眠習慣についての効果が認められた。 事後のインタビューでは、養育者の子育ての効力感についての変化は「とても良くなった」と「まあ良くなった」を合わせて64%であったのに対し、対照群では46%であり、養育者の子育てをサポートしていることがうかがえた。 さらに睡眠習慣改善の発達への影響を予備的に検討したところ、就床・起床時刻の前進、入眠潜時の短縮が大きいほど、KIDS乳幼児発達スケール内の「概念」のスコアの伸びが大きかった。また就床時刻の標準偏差の短縮が大きい(生活リズムが安定した)子どもほど、「操作」の発達が伸びた。これは睡眠習慣が子どもの発達に影響を与える証拠と考えられる。 2)2020年度について協力自治体を、弘前市、加賀市、永平寺町に増やす内諾を得て、各々の自治体、並びに関連する大学と打ち合わせに入った。 3)2,000以上の1歳半小児の睡眠に関する生活時間をウェブ調査により獲得した。それを用いて機械学習を行いアドバイスの自動化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東大阪市で予定通り1年間の実装を終え、その成果を好意的に評価された結果、協力を申し出る自治体が複数出現している。
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今後の研究の推進方策 |
・社会経済、気候等の異なる自治体において同様のコンプライアンスが得られるかの調査を行い、フィードバックによりアプリを改良することが必要。 ・大多数の家庭に適切な指導をもたらせるように機械学習によりアドバイス選定を自動化することが必要。
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