研究実績の概要 |
我が国における子どもの貧困の実態とそれがもたらす健康や学力への影響について、その媒介要因はほとんど明らかになっていない。本研究の目的は、その悉皆調査を前向きに追跡し健康状態や学力を評価し、修正可能な要因である栄養状態および非認知能力が媒介しているという仮説を検証することである。 平成28年度は、悉皆調査のコホートである小学校2年生の5,351人に質問票を配付し、4、583人から回答票を回収し、このうち調査への同意が得られなかった者と回答票が白紙であった者を除いた4,358人(有効回答率81.4%)を分析対象者とした。さらにサブコホートとして小学校4年生は616人を対象に質問紙を配布し、534人から有効回答を得た(有効回答率86.7%)。小学校6年生は623人を対象に質問紙を配布し、530人から有効回答を得た(有効回答率85.1%)。さらに中学校2年生は755人を対象に質問紙を配布し、588人から有効回答を得た(有効回答率77.9%)。 生活困難世帯を年収300万未満、子どもの生活必需品の非所有、ライフライン等の支払い困難経験で定義したところ、小2で1040世帯(23.9%)、小4で147世帯(27.5%)、小6で135世帯(25.5%)、中2で177世帯(30.1%)が該当した。生活困難世帯と非生活困難世帯では、生活習慣および健康の様々な面において差が見られた。 これらの結果は足立区の子どもの健康・生活実態調査報告書としてまとめられ、ホームページで公開することにより社会還元することができた。
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