これまでの足立区子どもの健康・生活実態調査について、縦断調査および小1の繰り返しパネル統合データとしての解析を進め、論文化した。今年度はこの調査で論文化できたのは16本で、貧困下において、子どもにおける留守番と問題行動、親の帰宅時間と問題行動、不規則な睡眠習慣と問題行動、貧困とソーシャルキャピタルと子どもの問題行動、ソーシャルキャピタルと麻疹のワクチン摂取率との関連、野菜から摂取することの肥満予防効果、親の調理と健康、貧困と養育態度と虫歯、出生順位とメンタルヘルス、生活保護の子どもの健康への影響、養育行動と登校拒否、歯磨きと登校拒否、脂質代謝とレジリエンスの関連など多岐にわたる。特に貧困層に見られる受動喫煙について、子どもの脂質異常症との関連を明らかにし、代謝内分泌の国際一流雑誌から出版された。また、貧困であってもロールモデル、サードプレイスがあることで自己肯定感の低下を防ぐことができることを明らかにした。これらの成果は足立区にフィードバックし、学校での健康政策に生かされている。また、未就学児の養育環境、特に食環境と健康状態との関連を明らかにした。さらに、平成28年度の中2の参加者について、子ども期の貧困状態がその後の思春期での健康状態にどのように影響を与えるかについて明らかにすべく追跡調査を実施した。コロナ禍で追跡調査に大幅なブレーキがかかったが、感染状況がひどくない時期に調査を継続するなど工夫した。
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