本研究課題では、未開拓の研究領域に位置づけられるセスタテルペン(炭素数25のテルペン)生合成マシナリーに焦点をあて、イソプレノイド生合成における中心的課題の一つであるテルペン環化酵素によるカスケード型環化反応の解明に取り組んだ。具体的には、①セスタテルペン環化酵素発現ライブラリーの構築を基盤とした酵素機能の系統的な解析により構造類縁体の網羅的生産に成功、②理論計算と変異導入実験による反応機構解析、などを通して、申請者が提案した「セスタテルペン環化酵素の“アミノ酸配列”と“初発となる環化反応で生成する環構造”には関連性がある」という仮説を立証した。また、セスキテルペン(炭素数15のテルペン)環化酵素をモデルとした検討により、提唱した仮説の一般性を検証した。以上の成果は、原著論文4報(Organic Letters、Scientific Reports、The Journal of Organic Chemistry、The Journal of Antibiotics)、総説・解説記事3報(Natural Product Reports、Comprehensive Natural Products III、バイオサイエンスとインダストリー)、関連論文2報(Tetrahedron Letters、Organic Letters)として学術誌に受理された。その他、投稿中(予定)の関連論文もある。以上の結果から、本研究課題の主たる目標は達成できたと考えている。
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