研究課題/領域番号 |
16H03278
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カリビアンシガトキシン / シガテラ中毒 / 効率的全合成 / 抗体作成 / 高感度微量検出法 |
研究実績の概要 |
カリビアンシガトキシン(C-CTX)はカリブ海で起こるシガテラ中毒の原因毒であり、これまで知られる太平洋型シガトキシン(P-CTX)類と比べて最大の分子量と最も複雑な化学構造を有する。近年、C-CTX による食中毒が世界的に拡大しつつあり、その予防対策は急務の課題である。本研究では、独自の合成戦略を基盤としたC-CTX の効率的な全合成ルートの確立、C-CTX を特異的に認識する抗体作製と高感度微量検出法への応用を目的とし、世界規模で大きな脅威となりつつあるシガテラ中毒の撲滅に貢献する。 C-CTXのM環は1,3-ジアキシアルの関係にある核間ジメチル基を持つため歪みの大きい7員環エーテル構造であり、その合成はC-CTX 全合成における最重要かつ最難関の課題である。本年度は、MN環部の合成法の確立を主たる目的として研究に取り組んだ。当初、6員環エーテルの合成において適用例が報告されているClaisen転位反応による1,3-ジメチル基を有する7員環エーテルの合成を検討したが、目的とする化合物を得ることはできなかった。そこで、Baranらにより最初に報告され、さらにShenviらによって改良法が報告されているFe(III)触媒を用いたラジカル反応による還元的オレフィンカップリングによる合成を検討した。M環部に相当する7員環exo-エノールエールに対して、電子不足なオレフィンを有するビニルケトン誘導体を作用させたところ、立体選択的に核間メチル基が導入され4炭素増炭された化合物が収率良く得られた。さらに、脱保護することによりN環部ヘミアセタールを構築し、MN環部モデル化合物の効率的合成法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたカリビアンシガトキシンのMN環部の合成経路の再設計が必要になり、新たな合成法の条件検討に予想以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
新たに確立したMN環部合成法の最適化を行うとともに、より官能基化された実際のLMN環部フラグメントの合成を早期に完了させ、当初計画通りにカリビアンシガトキシンの全合成と抗体作成を進める。
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備考 |
Sasaki Group Web Site http://www.agri.tohoku.ac.jp/kanshoku/
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