カリブ海で発生する食中毒シガテラの高感度微量検出法開発のための抗体作製を目的として、カリビアンシガトキシンの全合成研究を行った。カリビアンシガトキシンのM環の構築には既存の合成手法が適用できないため、全合成における最難関の課題の一つである。7員環ラクトン由来のエノールホスフェートのStille反応によるヒドロキシメチル基の導入、[3,3]-シグマトロピー転位を用いたα-ヒドロキシエキソエノールエーテルの構築を鍵工程としてLM環を合成した。さらに、鉄触媒によるヒドロシランを用いた還元的オレフィンクロスカップリング反応を適用することによりLMN環フラグメントの立体選択的合成を達成した。
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