研究課題/領域番号 |
16H03288
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
徳樂 清孝 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (00332106)
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研究分担者 |
中村 宗一郎 信州大学, 役員等, 理事 (00105305)
橋 友理香 山野美容芸術短期大学, その他部局等, 講師 (40756962)
上井 幸司 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (80347905)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイドβ / タウ / αシヌクレイン / 凝集阻害 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病をはじめとするアミロイド病は、アミロイドタンパク質の凝集が引き金となり発症するため、その凝集阻害物質は病気の予防や治療に有用である。本研究では最近我々が開発したアミロイドβ(Aβ)凝集阻害物質の微量ハイスループットスクリーニング法(MSHTS法)を活用し、Aβ凝集阻害物質の探索、および作用機序の解明に取り組んだ。また、MSHTS法をAβ以外のアミロイドに拡張するための検討を行った。 初年度に引き続き、ロスマリン酸のAβ凝集阻害機構を解明するため、MSHTS法を用いて様々な酸誘導体を用いた構造活性相関の解析を行い、国際学術誌に論文発表した。我々はこれまでに紫蘇の高いAβ凝集阻害活性を明らかにしてきた。そこで、本研究では様々な品種の紫蘇を栽培し、その凝集阻害活性を比較したところ、品種によって活性に違いがあることが明らかになった。北海道白糠町に生息する植物約200種のライブラリーを自ら作成し、そのAβ凝集阻害活性を評価した。その結果、植物の分類と活性に相関があることを明らかにした。 Aβ以外のアミロイド凝集のうち、タウとαシヌクレインの凝集体を量子ドットナノプローブを用いて可視化することに成功した。タウに関しては、ロスマリン酸や分子シャペロンによる凝集阻害の様子を3D観察することにも成功した。また、画像解析により、凝集阻害活性を50%効果濃度として数値化することも可能になった。 MSHTS法の自動化に向けた条件検討を行った。自動分注機による混合条件の検討により、Aβ凝集阻害活性の評価の際、Aβと阻害物質の混合条件が阻害活性に大きく影響することが明らかになった。また、自動撮影システムを用い、蛍光顕微鏡による最適画像取得条件の検討を行った。以上の成果を融合し、MSHTS法の自動化システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ロスマリン酸誘導体を用いたロスマリン酸によるAβ凝集阻害機構については、詳細な検討を終え、論文をpublishすることができた。 Aβ以外のアミロイドの凝集の可視化として、これまでにタウとαシヌクレインの可視化に成功しており、分子シャペロン等による凝集阻害の様子の観察や、阻害活性の数値化も可能となった。 様々な品種の紫蘇や、自ら作成した北海道白糠町産植物ライブラリの評価、MSHTS法の自動化については、計画に含まれていない研究であり、計画以上に研究が進展しているといえる。 以上、当初の計画についてはほぼ順調に進捗していること、また、計画以上の進展も見られたことから、現在時点では、(1)当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで順調にデータが出ているため、最終年度はこの成果を論文としてまとめていく作業を行う。また、残された計画については順次進めつつ、次の研究へ向けた発展的な研究についても取り組んでいく。また、本成果を活用した産学官連携による研究も積極的に推進していく。
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