• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

分解タグの発見にもとづくタンパク質の自在分解法

研究課題

研究課題/領域番号 16H03289
研究機関東北大学

研究代表者

有本 博一  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードタンパク質 / 細胞内分解 / オートファジー
研究実績の概要

オートファジーは、細胞質に存在する生体分子を分解する機構である。飢餓応答機能がよく知られているが、細胞内の有害物の除去などにも関与している。後者の機能は分解物選択性を示すと考えられているが、そのメカニズムは十分に理解されていない。研究代表者らは、S-グアニル化修飾が選択的なオートファジー分解の「タグ」となり、ポリユビキチン化を促進して選択的な基質分解を誘導することを見出した。
昨年度の分解タグに関する構造活性相関研究の結果を受けて、さらに合成検討を行い、分解活性の高い新たなタグを有するキメラ分子の合成に取り組んだ。その結果、同じ標的結合性リガンドをもつキメラ分子同士で比較した場合、1/100以下の濃度(nMレベル)で分解活性を示すことができた。通常の生物活性分子では、薬剤濃度を上げるにつれて、生物活性が大きくなることが一般的である。しかし、本年度に得たキメラ分子は、薬剤濃度を挙げると逆に標的分解活性が低下した。
このことは、キメラ分子が分解標的タンパク質、および、選択的オートファジー関連タンパク質と三元複合体を形成するためと考えることができる。
この考えを裏付けるため、「タグ」部分のみを過剰に細胞に投与したところ、8ーニトロcGMPによるオートファジー誘導を阻害した。つまり、過剰のタグは三元複合体形成を競合阻害することを意味している。
一方、in vivoでのキメラ分子の機能を評価するため、HaloTagを発現したマウスを用いて検討を開始した。分解タグを含むHaloTagリガンドを投与したところ、白血球中のHaloTagタンパク質との結合が確認できた。今後は分解について検討を行っていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に比べて低濃度で標的タンパク質を分解できるキメラ分子の開発に成功した。また、in vivo実験に、外部の協力者を得て着手できた。このように本年度開始時に計画した多くの研究項目で進展が見られているから。

今後の研究の推進方策

来年度は最終年度であり、これまでの研究を取りまとめると共に、キメラ分子が働く機構についても重点的に検討する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 選択的オートファジー分解の低分子化合物による制御2017

    • 著者名/発表者名
      有本博一
    • 学会等名
      第44回 日本毒性学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 選択的オートファジー分解を可能にする低分子化合物2017

    • 著者名/発表者名
      有本博一、高橋大輝、一刀かおり
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2018年度大会
    • 招待講演
  • [産業財産権] 傷害を受けたミトコンドリアのオートファジー機構による分解剤2017

    • 発明者名
      有本博一、一刀かおり、高橋大輝、森山順
    • 権利者名
      国立大学法人 東北大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2017-135086

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi