研究課題/領域番号 |
16H03290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清中 茂樹 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90422980)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アロステリック活性化 / 細胞膜受容体 / ケミカルバイオロジー / サブタイプ |
研究実績の概要 |
本研究では、我々がごく最近に見出した金属錯体によるAMPA型グルタミン酸受容体に対する人為的な活性化手法に関して、他の受容体ファミリーに対する適用拡大を進めた。イオンチャネル型受容体以外の受容体に対する適用を評価するために、細胞外にリガンド結合部位を有し、リガンド結合に伴いその構造が大きく変化することが知られるclass C GPCRに対する人為的な活性化を評価した。class c GPCRのリガンド結合部位の構造変化は、我々がこれまでに活性化に成功しているAMPA型グルタミン酸受容体と同様の機構であると報告されているので、我々の方法が適用できると考えられた。本年度はclass c GPCRに属するグルタミン酸受容体である代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)に対する適用拡大を評価した。mGluRは7種類のサブタイプが知られるが、本年度はグルタミン酸有無のリガンド結合部位のX線結晶構造解析結果が報告されているmGlu1サブタイプに着目した。報告されているX線結晶構造解析結果に基づき、金属錯体が配位可能なヒスチジン残基を2箇所変異導入した変異体を計8種類構築した。金属錯体としてはAMPA受容体において活性化に成功しているPd(bpy)錯体を用いて、蛍光性カルシウムイオン指示薬であるFura2を用いて、mGlu1の人為的な活性化について評価した。その結果、3種類の変異体において、Pd(bpy)により人為的に活性化することに成功した。興味深いことに、mGlu1の際にはグルタミン酸の非添加時においてもPd(bpy)により活性化できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画に記載した通り、我々がごく最近に見出した受容体活性化に対する適用拡大を進めた。実際にイオンチャネル型受容体とは大きく異なる代謝(GPCR)型グルタミン酸受容体(mGlu1)に対する人為的な活性化に成功した。以上より、研究は概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はmGlu1に対する人為的な活性化に成功した。次年度以降は他の受容体ファミリーに対する活性化も検討し、本手法の有用性を実証する。
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