本研究では投射経路選択的遺伝子発現制御法と計算論的手法を用いて、薬理遺伝学的に責任脳領域を操作し、島皮質を中心とした意思決定の神経回路の役割について検討した。その結果、①島皮質のGABA神経の機能不全はリスク志向な意思決定を促すこと②大脳基底核の間接路の機能不全はリスク回避型の意思決定を促すこと③島皮質―線条体経路の過活動はリスク志向な意思決定を促すこと見つけた。さらに島皮質のGABA神経や島皮質―線条体経路は大報酬の期待値を調節する神経であることが分かった。以上のことから、島皮質GABA神経を中心とした神経回路は意思決定・行動選択に重要なネットワークを形成していることが証明できた。
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